国内電機大手にとって国内テレビは重要な市場だ。海外市場よりも高単価な製品が多く、利益率向上に貢献しているためだ。国内市場は年間400万台前後で、この数年は「台数は横ばい。単価上昇で売上高は増えている」と、国内家電量販や電機大手関係者はいう。
新型肺炎の感染拡大が止まらず、五輪中止となれば、テレビの買い替え需要が大きく落ち込み、業績への影響は必至だ。国内テレビ市場でシャープとパナソニックはそれぞれシェア1位、2位で、世界シェアは9位と10位。国内3位ながら世界シェア5位のソニーと比べ、国内市場の存在感が際立つ(世界はIHSマークイット、国内はBCN、2018年)。
家電部門の収益に下押し圧力
白物家電の販売でも同様の構図がある。パナソニックやシャープは世界で家電事業を展開している中、利益率が高い高付加価値家電の売上げは国内が中心だ。共働き世帯の増加で時短ニーズが高まり、特に洗濯機や冷蔵庫など高機能の白物家電の販売が好調だ。
国内の家電市場は消費増税の反動を受けているものの、「洗濯機や冷蔵庫などの白物家電は高機能製品であればあるほど消費増税の反動は受けていない」(都内の家電量販店役員)と話していた。パナソニックやシャープが2020年1~2月に開いた決算説明会でも、両社は「高単価品は比較的堅調だった」と説明した。
しかし、「2月に入ってから、ずるずると客足が落ちており、高機能家電の売り上げにも影響が出そうだ」(前出の家電量販幹部)。高価格の高機能家電は店頭での説明を求める消費者も多く、外出控えは売上減に直結する。
パナソニック、シャープ両社の2019年4~12月期の家電部門の営業利益率は、それぞれ4.2%と5.3%(パナはアプライアンス事業、シャープはスマートライフ事業の利益率)だった。高機能家電の販売が堅調だったため利益率を押し上げているが、国内家電市場がさらに冷え込めば、利益率低下は避けられないだろう。
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