東洋経済オンラインは10年前から売り上げを増やした企業を「過去10年で『売上高』が増えたトップ500社」として2月8日配信記事で紹介した。
企業の業績で基本となるのは、いうまでもなく売り上げ(売上高)だ。損益計算書のいちばん上に記載される数字であることから、「トップライン」とも呼ばれる。商品やサービスの販売など、企業の主たる営業活動によって得られた収益である。定款によって定められた事業からの収入であり、ここを継続的に伸ばしていくことが企業経営の基本であり王道だ。
一方で、思うように売り上げを伸ばせず、逆に減らしてしまうこともある。需要の減退、競争激化、外部環境の変化、事業の切り売りなど、さまざまな要因がある。そこで今度は「過去10年で売上高を減らした企業」のランキングを作成した。
『会社四季報』(2017年新春号が発売中)で集計しているデータを活用した。直近本決算までの実績をベースにしており、10年前と比べての売上高減少額が多い順に上位500社を並べた(原則として連結ベース、単体決算企業は単体の数字)。直近決算の売上高と、10年前比の減少率(%)、従業員数も記載した。
トップ3は電機大手が独占
トップ3は1位パナソニック、2位東芝、3位シャープと電機大手が並んだ。パナソニックの年間売上高はこの10年で1兆3406億円(15%)も減少。今でこそ苦境を脱しているものの、一時は業績悪化に苦しみ、不振事業の整理・統合を大きく進めた。「『連結子会社数を減らした』222社ランキング」(2016年12月12日配信)でも1位になったように、グループも大きく縮小してきた。
2位東芝は同6748億円減(11%減)。いまや解体の危機に瀕しており、もはや説明不要かもしれない。2015年春に会計不祥事が発覚し、リーマン危機後の構造改革の遅れが表面化。のれん減損などで巨額赤字を計上し、国内外で1万人の人員削減や不採算事業の撤退などで再建を進めてきたことが主因だ。ただ、今後は半導体事業を事実上、売却する方向で動いており、さらに売り上げが減ることも考えうる。3位シャープもこの10年で業績不振にあえいできた。
10年前に比べて売り上げを1000億円超減らしたのは32社。100億円以上の減少は272社となった。電機のほかは、鉄道、精密機器、百貨店、石油会社、建設会社などの業種が上位に目立った。