セレブも熱視線、フィリピン不動産の将来性 経済成長の一方で価格は東京の4分の1と割安

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アジアの不動産といえば、香港やシンガポールの人気が高いが、これらの都市は過去数年間で価格が急騰しており、「なかなか買えなくなってきている」(森田社長)。対して、フィリピンの不動産はアジアの主要都市の不動産価格に比べると割安感があり、1平方メートル辺りの単価で見ると、最も高い香港の7分の1程度、東京と比べても4分の1程度の価格となっている。加えて、今後も経済成長によって物件価格の上昇が見込めるというのが、アヤラランドの見立てだ。

不動産市場の先行きは?

高成長が続いた住宅市場だが、伸び率は鈍化している

東南アジアの不動産市場はリーマンショックからいち早く立ち直り、その後は急激に拡大してきた。

ただし、先行きに関しては、いささか慎重に見ておく必要があるかもしれない。フィリピンの住宅価格や賃料もここ数年、一本調子で伸びてきたが、ここにきて伸び率が鈍化している。

短期的に東南アジア市場の動向のカギを握るのは、米国の量的緩和の縮小だ。QE3による“カネ余り”で新興国の不動産に回っていたマネーが逆流することになれば、新興国の不動産市場は冷え込みかねない。不動産だけでなく、先進国から東南アジア諸国への直接投資が縮小すれば、景気動向に影響を及ぼす可能性も大いにあるだろう。

JLLの赤城威志リサーチ事業部長は、東南アジアの不動産市場について、長期的には上昇トレンドが継続しそうだが、足元は伸び率が低下する、と見る。フィリピンでは引き続きBPO需要が堅調だが、賃料・物件価格とも伸び率は「前年比1~2%に落ち着きそう」(赤城氏)。住宅市場の動きもこれと大きく変わりそうにない。

フィリピンをはじめとした新興国の不動産市場は、まだ国内プレーヤーの裾野が狭いため、海外マネーの潮流に大きな影響を受けてしまう。物件購入に当たっては、当該国の経済状況と同時に、世界規模の金融情勢も注視する必要がありそうだ。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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