トーキョーは魅力ある不動産マーケットだ 不動産世界大手に聞く、海外投資家の"買い姿勢"

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ヒューズCEOは、ジョーンズ ラング ラサールのアジア太平洋部門を統括している(撮影:今井康一)
アベノミクスの効果もあり、不動産市場の回復が一段と鮮明になっている。2013年7月時点の都道府県地価調査(基準地価)では、東京など3大都市圏の地価が5年ぶりに上昇に転じた。こうした流れを牽引するのが、海外投資家たちだ。
週刊東洋経済は2014年1月11日号(1月6日発売)で「不動産 動き出す!」と題した特集を組んだ。海外投資家の間で日本の不動産市場への関心が高まっている理由について、総合不動産サービス大手、ジョーンズ ラング ラサールのアジアパシフィック最高経営責任者(CEO)、アラステア・ヒューズ氏に聞いた。

東京の不動産には投資妙味がある

――海外勢はなぜ日本の不動産に注目しているのでしょうか。

アジア太平洋地域の商業用不動産への投資は2年ほど前から人気になっている。世界経済が不確実性を増す中、商業用不動産はハードアセット(現物資産)であり、収入もある程度予想できる。将来、インフレが進んだ時のヘッジ資産としての魅力もある。アジア太平洋地域の不動産取引額は2013年に1200億ドルに達し、2008年のリーマンショック以降では最も高い水準になった。

中でも、不動産売買額でニューヨーク、ロンドンに次ぎ世界3位の東京が活況を呈している。海外投資家が東京を気に入っている理由はいくつかある。

まず、日本は成熟、安定した経済大国で、取得可能かつ高品質な商業用不動産がある。さらに、東京はほかの市場より回復が遅れていた。オフィス賃料はリーマンショック前と比べて60%程度の水準にとどまっており、回復が始まったばかりの段階にある。そして最も重要なのは、東京の商業用不動産のイールドギャップ(投資利回りと長期金利の差)は非常に大きく、それほどレバレッジをかけなくても投資妙味があるという点だ。

――アベノミクスは投資家心理に影響している?

海外投資家はアベノミクスについてかなり評価している。短期的にみると投資家の日本への信頼感が上がり、中期的にはテナント側の心理へも好影響を及ぼすだろう。借り手が増えれば、オフィスビルの賃料も上がることになる。

長期的に見ると、海外投資家は「第三の矢」の効果が大きくなることを期待している。ただ、効果が出る前でも、第一、第二の矢がもたらしている効果だけで十分にハッピーな状況にある。

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