トーキョーは魅力ある不動産マーケットだ 不動産世界大手に聞く、海外投資家の"買い姿勢"

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――2020年の東京五輪開催決定も期待を高めたのでしょうか。

東京五輪の効果を価格に織り込んでいるわけではないが、日本への信頼感をさらに高める要因になる。インフラ整備への支出が期待されるほか、国際都市・東京としてプロモーションを積極的に行っていくだろう。

都市としての国際性が高まることは好ましいことだ。2012年大会を開催したロンドンの場合、五輪がなければ実施されなかったであろう開発案件があった。五輪の開催は、その国にとっても、不動産のプレーヤーにとっても、大変喜ばしいことだ。

海外投資家は長期投資がメイン

――日本に積極的な海外投資家は、どういった層でしょうか。

以前はヘッジファンドなど短期的な売買を志向する投資家が目立ったが、最近は政府系のソブリンファンドや年金ファンドなど長期保有を見据えた投資家が多い。何世代にもわたって運用するアジアの富裕層も目立つ。

商業用不動産取引に占める外国人の比率は、ロンドンで約6割、ニューヨークで約3割だが、東京は2割弱にすぎない。さらに海外勢が増える可能性はあるが、国内投資家が圧倒的に多い東京で海外投資家がバブルを引き起こすことにはならない。

1988年ジョーンズ ラング ウートン(現・ジョーンズ ラング ラサール)入社。2005年同社のEMEA(欧州、中東、アフリカ)業務CEOに就任。2009年から現職

世界的にも不動産市場は長期投資がメインになっている。リーマンショックまでは借り入れを増やして不動産投資をしていたが、今やそれがかなう時代ではなくなった。

リーマンショック後、先進国の中央銀行は2つの手を打ってきた。1つは金融緩和で、もう1つが銀行への規制厳格化だ。その結果、金利水準は非常に低いが、かといって借り入れはしにくい状況になっている。低コストで借り入れた資金が投資に向かっているわけではない。

――日本の不動産市場にとって今後の課題は?

世界的に商業用不動産で成功しているのは、透明性が高い市場だ。売買記録を明確にトレースでき、それゆえに流動性も高まる。許認可や都市計画、賃貸に関する法律がわかりやく整備されていることも重要だ。

そういった意味で豪州や米国、英国は透明性が高い。その対極にあるのが、ジャカルタ、モスクワ、北京。日本の透明性は真ん中ぐらいに位置している。今後、透明性が向上していけば、海外投資家の人気はさらに高まるだろう。

山本 直樹 東洋経済 記者

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やまもと なおき / Naoki Yamamoto

『オール投資』、『会社四季報』などを経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。

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