中国経済が変調している。今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比7.5%増にとどまった。1~3月期の7.7%を下回り、2四半期連続で減速した。8%割れは5四半期連続だ。
経済の減速に伴い、さまざまな問題が顕在化してきた。問題は多岐にわたる。長期的に見ると、「ルイスの転換点」を越えたという問題がある。これは農業経済が工業化するとき、農業部門の余剰労働力が枯渇する段階だ。これを過ぎると、賃金上昇と労働力制約が問題となる。また、これまでの投資主導経済を消費主導経済に転換させる必要性もある。市場経済を取り入れているものの、共産党による一党独裁が続くという根源的な矛盾がある。既得権益層が改革を拒み、所得分布がますます不平等化して、社会が不安定化する。
より緊急には、不動産バブルの問題がある。2009年の世界経済危機に対して中国が取った大規模な景気刺激策の後遺症だ。過剰投資による債務の急増や、不動産バブルの崩壊の可能性、「影の銀行(シャドーバンキング)」を通じる不良債権の増大などによって、金融リスクが大きくなってきたのだ。
これらの問題は、日本経済にも重大な影響を与える。すでに中国に対する輸出の伸び悩みは、日本経済に深刻な影響を与えている。また、多くの日本企業がすでに中国に進出しているので、今後中国経済が混乱すれば、影響がさらに大きくなる。われわれは、中国経済の動向に無関心ではいられない。
以下では、不動産バブルと不良債権の問題を中心に考えることとしたい。そして、それが日本経済にいかなる影響を与えるかを探る。
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