投資主導経済で不動産価格の急上昇
中国は実質8%超という経済成長を00年から11年まで続けてきたが、それは、投資支出にリードされたものだった。GDPに占める固定資本形成の割合は、03年以降、継続して40%を超えている。日本でも1970年代に固定資本形成がGDPの40%近くになった時期があったが、高度成長期を通じて30%台前半の年が多かった。最近では20%、あるいはそれ未満だ。これと比較して、中国経済の投資依存ぶりは明白だ。
投資依存は、リーマンショック後に行われた4兆元(約66兆円)の緊急経済対策でピークに達した。公共事業が拡大され、金融も緩和された。後に見るメカニズムで、地方政府による不動産開発も行われた。
これを背景に住宅ブームが起こり、中産階級でも購入が難しいほど住宅価格が高騰した。住宅価格の年間所得に対する倍率を見ると、09年に大きく上昇し、平均で11倍程度の高水準となった(ただし07年がもっとも高く、13倍程度の水準だった。それがリーマンショックで低下したが、拡張政策で再び上昇した。最近では8倍程度に低下している)。
こうした状況を危険視した中国政府は、11年から金融引き締めに転じて不動産価格の抑制を目指した。頭金割合引き上げや課税強化なども打ち出した。このため、不動産価格は一時低下した。
しかし、傾向的な上昇は続き、今年に入ってからは、再び急上昇しているのである。中国国家統計局の発表によると、6月より値上がりは鈍化したものの、中国の主要都市70のうち62で7月の新築住宅価格が前月比上昇となった。57都市では、新築だけでなく中古住宅の価格も上昇した。特に広州と深センでは17%、北京と上海では14%の高騰となった。
この原因として、富裕層による不動産投資が指摘されている。銀行預金では利回りが低いためだ。政府はバブルを抑制したいが、そうすると成長が鈍化する。不動産部門は各種産業への経済効果が大きいため、強い対策を取れないのだ(実際、金融は12年後半に再び緩和されている)。
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