ついにアメリカの巨大バブル崩壊が見えて来た 株価の大乱高下めぐる「6つの鍵」で読み解く

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第3の謎、「アメリカでは実質的な影響は少ないのに、新型肺炎で下がるのか」、に対する答えは、今後、アメリカで新型肺炎が無限に広がるという恐れを抱いているからではなく、まったく逆で、新型肺炎と今回の暴落および乱高下が無関係である、と考えれば簡単だ。アメリカ株式市場のバブル崩壊なのである。

第4の点、5日の暴落についてだが、バブル崩壊局面では、投資家のセンチメントは最悪の状態になる。代表的なのは恐怖指数(VIX指数)である。乱高下を表すこの指標がこう呼ばれていることに象徴されるように、恐怖のときは、乱高下するのである。投資家はバブル崩壊の恐怖に直面しているのである。

第5の点、4日の暴騰も、これと同じで、恐怖に陥ると、藁にもすがりたくなる。したがって、ポジティブかどうか分からないニュースでも、とりあえず、明らかにネガティブでなければ、しかも、前日に大暴落していれば、反転のきっかけのニュースとして、自分の願望を押し付けて解釈することになるのである。

「最大の謎」=「利下げなのに暴落」の理由

最後の第6の点、「利下げなのに暴落」は、第5の点からすると、暴騰しそうであるが、ここは債券市場が絡んでいるので、そうはいかない。債券市場と株式市場は根本的に異なるロジックで動いている。

理由は2つある。債券市場の投資家、運用者は理論重視、理屈で動く人々であり、株式市場は、直感、ムードで動く、狩猟民族の人々である。もともと債券投資は保有をし続けて利回りを得る、インカムゲインをねらう投資であり、株式は値上がりによるキャピタルゲインをねらう投資であることが背景にある。

しかし、同時に、債券投資でキャピタルゲインをねらう人々もいる。彼らは現物を持たず先物で勝負するから、現在の保有ポジションは重要でなく、自由に動けるので、彼らが相場に影響を与えるから、これまでの投資スタンスから自由にポジションを取れる。したがって、債券買いの理由が生まれれば一瞬でポジションを変え、動くことができるのである。

一方、株式投資家は、先物勝負の人々もいるが、現物の投資家たちも売買をかなりするので、影響が残っており、動きにくいという面がある。これが第2の理由で、債券投資家が、その瞬間のロジックに正しく(素直に)反応するのである。ここでは、FEDが緊急利下げをした、ということは、次の会合で利下げすると思われていたのを前倒ししたのだから、金利は一気に大きな下降トレンドに入る。

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