前田建設に900億円、TOBめぐる銀行融資に疑問 みずほと三井住友、早くも減損リスクに直面

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前田道路に対するTOBが思わぬ波紋を読んでいる(撮影:尾形文繁)

敵対的買収案件に対する銀行の融資姿勢に、疑問の声が上がっている。前田道路に対して敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けている前田建設工業に、みずほ銀行と三井住友銀行が融資しているためだ。

前田道路をめぐっては、筆頭株主である前田建設が1月21日から3月4日(その後、3月12日に延長)まで、1株3950円、2181万株を上限にTOBを行い、24%の出資比率を51%に引き上げると発表。前田道路がこれを拒否したため、敵対的買収へと発展した。

にもかかわらず、みずほと三井住友の2行は前田建設に対し、TOB資金としてそれぞれ450億円ずつ融資。これについて、「銀行は全方位外交だったはずなのに」との声が上がっているのだ。

敵対的になっても融資を実行

これまで銀行は、敵対的買収に対する融資には及び腰だった。敵対的買収など対立する買収案件において、片方に融資という形で加担してしまうと、他の取引先企業が「いつかうちにも牙をむいてくるのではないか」と疑心暗鬼に陥ってしまうからだ。

また、大抵の場合は対立する双方と取引関係にあることが多く、片方の肩を持つことができないという事情もあって、銀行は “全方位外交”が常識だった。

そうした常識を覆してまで、なぜ今回は前田建設に融資したのか。両行ともに、「個別案件については回答を差し控える」としているが、事情に詳しい金融関係者は明かす。

「前田建設のメインバンクがみずほ銀行と三井住友銀行、対する前田道路のメインバンクが三菱UFJ銀行とはっきり色分けされていたため融資しやすかったという点が大きい。そうした状況を踏まえて前田建設は事前に2行と相談。普通は融資の条件に盛り込まれないが、今回は敵対的買収になっても融資を実行するという条件がついた」

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