ユニゾ、水面下で進む「踏み絵」と「資産売却」 三つどもえの買収合戦、国内初「EBO」の舞台裏
2019年11月。オフィスビル賃貸やホテル運営などを手がけるユニゾホールディングス(以下、ユニゾ)の社員は、部署ごとに会議室に呼び出されていた。
部屋に入ると、目の前には小崎哲資社長を始はじめとする幹部4人が待っていた。座るや否やペーパーを差し出され、こう迫ってきたという。
「右と左、どちらを選ぶのか。一晩考えて明日までに回答しろ」
「踏み絵」に困惑する社員たち
詳細は後述するが、ユニゾは2019年7月に旅行大手のHISからTOB(株式公開買い付け)を仕掛けられたことを発端に、米フォートレス・インベストメント・グループ(2019年8月、買収価格1株4000円)や米ブラックストーン・グループ(2019年9月、買収価格1株5000円)から相次いでTOBを提案されていた。ユニゾはこれら買収提案を表面的には検討するとしていたものの、本音は「拒否」であることは明らかだった。
だが、社内では買収提案に対する会社の対応についていっさい説明がなく、社員たちは困惑。会議室に呼び出されたのも、社長自ら詳しく説明してくれるのだろうと思っていたら、様子がまったく違ったのだ。
図は、小崎社長らが示したものだ。「左」は、フォートレスやブラックストーンなどが仕掛けたTOBが成立し、ユニゾが買収されたケースを想定したものだ。外資系ファンド傘下にユニゾが入り、ビル61棟、ホテル27棟(2020年1月時点の保有物件はビル68物件、計画中を含めホテル27棟)を保有し、総資産で6500億円程度の会社になるとしている。
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