ユニゾ、水面下で進む「踏み絵」と「資産売却」 三つどもえの買収合戦、国内初「EBO」の舞台裏

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開発中のものも含めて27棟保有しているホテルについても同様で、半分近くの売却を計画。すでに、複数の不動産会社や不動産投資ファンドなどと交渉を始めているというのだ。

「EBOの実施にあたって資金が必要で、ローン・スターから資金を調達しているが、EBOの成立から半年後には返済しなければならない契約になっている。また、その後も資金が必要になることから、ビルやホテルの売却を急いでいる」と、この関係者は明かす。

つまり、外資系ファンドの案に反対する理由としてあげていた資産売却を、自ら進めているのだ。

これに対し、ユニゾ側は「以前から資産の入れ替えを進めており、その一環だ」と主張する。

資産売却は「背任行為」との指摘も

「契約上、追い込まれた部分もあるが、当初踏ませた踏み絵の姿に近づいている。小崎社長は、EBOなど奇策を繰り出し抵抗しているが、勝てないと踏んで、(会社を分離させる)最初の構想に持っていこうとしているのかもしれない」

ユニゾ関係者はこう指摘した後、このように続けた。

「将来を悲観した従業員たちも毎月5〜6人ずつ退職している。このまま資産売却を続ければ企業価値は低下し、株価も下がる。明らかな背任行為なのではないか」

チトセアによるEBOの期限は3月18日。2月24日には、ブラックストーンがTOB価格を1株6000円に引き上げた。小崎社長をはじめとするユニゾ経営陣は、こうした提案にどのように答えるのだろうか。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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