全盲の19歳娘を育て「居場所」作る母のリアル 私は「地域で一緒に」という言葉に救われた

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普段はどこに行くにもずっと親がついていなければならないし、盲学校は地元からは遠く離れていたので、「地域で一緒に」なんて言われたのは初めてでした。それが嬉しくて、私自身もその頃からだんだん力を抜けるようになったと感じています。

――子育てでとくに大変だったのはどんなことでしょうか。

埼玉県には盲学校が一つしかないので、車で1時間くらいかけて送り迎えをしていました。もっと遠くから来ている人もいるので、寄宿舎もあります。娘も大きくなってからは週に1、2回寄宿舎で生活していました。

視覚障害がある子どものお母さんたちにとっては、もう生活の一部のようになっていると思うのですが、毎日送り迎えをしているんですよね。知的障害がない子どもであれば、自分で電車に乗っていくこともできるようになりますが、通学のサポートはあるといいなと思いました。

障害者の一時預かりや送迎サービスを提供する「生活サポート」というサービスはあるのですが、身近な場所における支援が基本になるので、遠くまで送迎してもらうのは難しいんです。

盲学校卒業後の娘の居場所をつくりたい

――19歳になる長女が楽しく活動できる作業所をつくりたいという思いからNPO法人を立ち上げられましたが、どのような経緯だったのでしょうか。

娘が中学部にあがる頃になると、お母さんたちは盲学校卒業後のことが不安になってきます。今までは居心地の良い場所に居られたけど、今後も子どもたちに合うような場所はあるかなと。そこで、近隣に住んでいるお母さんたちといろんな作業所を見て回りました。

ですが、視覚障害者向けの作業所というのはほとんどなく、娘ができるような作業や、安全な環境はなかなかありませんでした。一方で東京には、視覚障害者に特化した作業所があって、そこには体を動かすスペースもあります。天井についているレールから垂れた紐を持つと走ることもできるんです。

そんな場所が近くにあったらいいなと思いながらも、自分に何かできるわけじゃないと諦めていたのですが、たまたま同じ想いを持った盲学校の教員や、土地をくれるという人とつながって、一緒に作業所をつくることになったんです。そのためにNPO法人をつくりました。今はちょうど作業所を建設しているところです。

建設中の作業所。近くには畑が広がっていた(写真:リディラバジャーナル編集部)

――2月には建設工事が終わるということですが、どんな作業所にしていきたいですか。

利用者さんが、のびのびと自分らしく過ごせる場所にしたいです。また、作業所をつくるための補助金を申請したときにいろいろと調べるなかで、娘のような盲重複の子や盲学校に通っている子どもだけではなくて、中途失明で、ひきこもりがちの人も多くいると分かりました。なので、そういった人たちも通える場所にしたいです。

近くに畑などもあるので、そこでとれた野菜の袋詰をしたり、お庭で地域の人も交えてバーベキューをしたり、地域に愛される施設にしたいなと思っています。

リディラバジャーナルでは、「障害児の子育てのリアル」を連載しています。障害児を育てる上で、どのような悩みや葛藤があるのか。ぜひ他の記事もご覧ください。

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「リディラバジャーナル」編集部

「リディラバジャーナル」は社会問題の現場を訪れるスタディツアーを提供しているリディラバが2018年1月に立ち上げたウェブメディア。社会問題を見続けてきたリディラバの知見をもとに、問題の背景にある社会構造まで踏み込んだ、特集形式で記事を提供する有料メディアです。

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