逆境の中国ファーウェイ、打倒グーグルの策略 アメリカの制裁を受けつつ独自アプリを発表

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「10年来、ファーウェイはグーグルという偉大な企業と密接に協力し、世界中の消費者に最高の製品体験を届け、アンドロイドシステムの進化を推し進めてきた。我々は今も全面的にアンドロイドを支持しており、グーグルとの長期的な戦略パートナーである」。ファーウェイ消費者事業部門CEOの余氏はそう語る。

「ファーウェイがHMSとアプリストアを発表したのは、業界に“別の選択肢を提供する”ためだ」

フラッグシップモデルの欧州販売を断念

2019年5月、アメリカはファーウェイへの輸出規制に正式に乗り出し、ファーウェイは新しいスマホについてグーグルと協力することができなくなった。GMSが使用禁止になったことで通信事業者は仕入れを控え、消費者も購入をためらうようになるなど、ファーウェイの海外でのスマホ販売に莫大な影響を与えた。

結果として、同社は2019年のフラッグシップモデルである「Mate 30」の欧州市場での販売を基本的に断念。同年8月には、デベロッパーズカンファレンスでHarmony OSを発表し、グーグルのアンドロイドに取って代わる姿勢を明らかにした。

HMSは単なるOSではない。HMSにはファーウェイ独自のアプリストア、ウォレット、音声アシスタント、音楽再生アプリ、クラウド、さらにはアカウント、決済、通知、マップなどの基本的なサービスが含まれる。GMSのYouTubeやグーグルマップなどに相当するものだ。

GMSが使えなくなったとしても、中国大陸では各スマホメーカーが自社のサービスを持っているため、影響はそれほど大きくない。だが海外では、GMSがないと多くのアプリで通知や決済、GPSなどの機能が使えなくなり、正常な動作ができなくなってしまうのだ。

平安証券のレポートによると、「グーグルはアンドロイドOSにGMSを組み込むことで、グローバル市場でのGMSへの依存度を高め、広告収入を得ている」。同レポートでは、ファーウェイがグーグルに取って代わる2つの方法が示されている。1つはHarmony OSを推し出し、アンドロイドOSに取って代わること。もう1つはアンドロイドを使用しつつ、HMSでGMSに取って代わることだ。

「1つ目の方法は難易度が高い。Harmony OSはまだ初期段階にあり、短期間でアンドロイドを代替できる可能性は低い。だが、2つ目の方法は実現可能性が比較的高い」という。

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