逆境の中国ファーウェイ、打倒グーグルの策略

アメリカの制裁を受けつつ独自アプリを発表

2019年11月、アメリカ政府はマイクロソフトやNetflixなどのアメリカ企業が、再びファーウェイに対してアプリを提供することを認めたが、そのリストにグーグルは入っていない。

アメリカ政府は近々、米国の技術比率が10%未満の製品やサービスしか、ファーウェイに輸出できないようにすることを検討している。これまでの基準は25%だった。

ファーウェイの創業者兼CEOである任正非氏は今年1月21日、冬季ダボス会議に出席した際に、「アメリカは今年、ファーウェイへの攻撃を強めるだろう」と語った。

2019年12月31日には、輪番CEO(編集部注:ファーウェイでは取締役会から選出された3名の代表者が任期6カ月のCEO職を輪番で担当)の徐直軍氏が新年の挨拶の中で、「HMSの発展はスマート端末を海外で販売するための必要条件であり、2020年は全力を挙げてHMSのエコシステムを構築する」と発表していた。

グーグルの独占状況を打ち崩せるか

長い目で見ると、ファーウェイがアメリカの包囲網を突破し、アップルのiOSとグーグルのアンドロイド以外の第3のエコシステムを作り出した場合、業界に与える影響は極めて大きいものになる。

ファーウェイは、ハードウェア開発競争のレッドオーシャンから抜け出せるだけでなく、アップルのように好採算のソフトウェアを通して収益を上げることが可能になるからだ。さらには海外でグーグルの独占状況を打ち崩し、同社の広告収入の脅威になるだろう。

しかし、HMSがGMSに取って代わるのは決して容易ではない。まず、アプリの開発者はHMSのインターフェースに合わせてプログラミングし直して初めて、ファーウェイのアプリストアで販売できるようになる。ファーウェイによると、2020年1月までにHMSを使用するアプリは5.5万種類以上だが、GMSの約300万種類には遠く及ばない。

2月24日の発表会で余氏は、「アプリ開発者が(HMSに)移行するために、世界中で10億ドルを投資する」という昨年の発表内容を繰り返した。
消費者BGグローバルエコシステム発展部総裁の汪厳旻氏は、「グーグルの開発者支援はオンラインのみだが、ファーウェイはオフラインでオーダーメイドの支援を提供する」と話す。

だが、HMSに最も足りないものはグーグルマップやYouTubeなど、インストール数が極めて多い代表的なアプリだ。

2月21日、グーグルのアンドロイドおよびアプリストアの法務部門のディレクターであるトリスタン・オストロフスキー氏は書面で、「ユーザーがグーグルアプリを、認証を受けていないファーウェイのスマホにインストールした場合、グーグルは彼らのデータの安全性を保障できない」と表明した。

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