政府は2月27日夕、全国の小中高校に対して3月2日から春休みまで臨時休校とするよう要請した。突然の異例の方針に、混乱が広がっている。
安倍晋三首相が政府部内の慎重論を退けて「政治決断」したものだが、政府関係者からは「大英断」と高く評価する声が出る一方、「国民からの後手批判に焦った、苦し紛れの場当たり的対応」(立憲民主党幹部)との批判も相次いでいる。
与党内でも学校現場での混乱拡大を懸念する向きが多く、結果次第では安倍首相の政権運営への打撃となるリスクもはらんでいる。
自治体は「てんやわんや」の対応
安倍首相は2月27日、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国すべての小中高校と特別支援学校の臨時休校を呼びかけた。同時に、感染拡大抑制などのための早急な法案整備を関係閣僚に指示した。
安倍首相は「流行を早期に終息させるためには、ここ1~2週間が極めて重要な時期だ」とし、「多くの子どもや教員が日常的に長時間集まることによる感染リスクに備える」と、徹底した感染防止策の意義を力説した。この要請は国公私立の全学校が対象となるだけに、各自治体の教育現場は、週末に向けて「てんやわんやの対応」(有力県知事)を強いられている。
国際社会をパンデミックの恐怖に陥れた新型肺炎が世界に警戒警報として伝わったのは、1月下旬の中国政府による武漢封鎖からだ。2012年に発生したMERS(中東呼吸器症候群)や2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)と同様、病原体はコロナウイルスだが、前二者とは異なる感染症で、致死率は新型インフルエンザ並みと高くはない。ただ、感染力が強く、高齢者の重症化が際立つというのが特徴だ。
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