「トランプVSバーニー」ならトランプ圧勝なのか アメリカの「社会主義ブーム」は結構ヤバイぞ

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2月25日火曜日にサウスカロライナ州で行われた候補者討論会において、ブティジェッジ候補が「(穏健派の)下院議員約40人が、サンダースの政策綱領についていけないと言っている」と警告を発している。左派のサンダース候補では、単にトランプ大統領に勝てないだけではなく、民主党が現在、下院で得ている多数まで失う恐れがあるというのだ。

しかるにバーニー親衛隊にとっては、これほど彼らを怒らせる物言いはない。党内ポリティクスにおいては、「団結した1割が他の9割を支配する」てなことがしばしば起きる。バーニー親衛隊は、まるで民主党にTOB(敵対的買収)を仕掛けているように見える。その姿は4年前、多くの人の予想を裏切って、トランプ氏が共和党大統領候補にのし上がった過程とそっくりである。

トランプ大統領はかかる状況にご満悦である。2月22日のツイートでは、こんなことを言っている。

「ネバダ州では、『クレイジー・バーニー』がうまくやっているようだ。バイデンとその他の連中は弱そうだし、『ちっこいマイク』(身長がさほど高くないブルームバーグ氏のこと)は、あれだけひどい討論会をやった後では勝ち目はないな。バーニー、おめでとう。ほかのやつらに負けるなよ」

(トランプ大統領のツイートから)

トランプ氏としては、「相手が自称・社会主義者であれば大いに与しやすし」と考えているのであろう。ただし本当にそうだろうか。

大統領選が「億万長者対社会主義者」になる可能性

ほんの少し前まで、米国政治において「社会主義者」(Socialist)という言葉はほとんど「禁句」であった。しかるに冷戦時代を知らないミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)には、「社会主義」(Socialism)に対するタブー感がほとんどない。彼らはソルジェニーツィンの『収容所群島』や、カンボジアの「ポルポト政権」のことをほとんど知らない。そしてSNSなどを通して、「ソーシャル」(Social)という言葉を良い意味で使ってきた。

さらに言えば、「社会主義」(Socialism)という言葉の復権には、「資本主義」(Capitalism)の評価がガタ落ちした、という時代背景もある。2008年のリーマンショック以降の10年を振り返ってみても、資本主義は決して褒められたものではなかった。そしてミレニアル世代は、「生まれてこの方、いい目を見たことがない世代」などと言われている(日本における「就職氷河期世代」にちょっと似ている)。

彼らが考える21世紀の「社会主義」は、20世紀のそれとはかなり違うものであるらしい。そしてトランプ氏が属するベビーブーマー世代(1946年~1964年生まれ)は、数の上で間もなくミレニアル世代に逆転されてしまう。2020年選挙はともかく、将来的には社会主義者(Socialist)の米国大統領が誕生するかもしれないのだ。

民主党の候補者選びは、2月29日土曜日のサウスカロライナ州予備選挙、そして3月3日火曜日のスーパーチューズデーと続く。2020年大統領選挙が「億万長者対社会主義者」の高齢者対決になる確率は、現状ではけっして低くないようである(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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