億人単位の死者も危惧される温暖化の甚大影響

グローバルな気候崩壊の連鎖が何を起こすか

「存在をゆるがす危機」が起きている(写真はアメリカ・アイオワ州で2019年に起きた大洪水、写真:sgtphoto/iStock)

いったい、いまどれだけのことが、どれだけの速さで起きているのか? 現実を受けとめるのは難しいかもしれない。

2018年夏には、1週間の間に世界各地が記録的な熱波に襲われた。カナダのケベック州では熱波で54人が死亡している。アメリカ西部では100カ所で大規模な山火事が発生、カリフォルニア州では1日で焼失面積が16平方キロメートルに広がった。日本では、西日本豪雨で120万人に避難勧告が出された。

拙著『地球に住めなくなる日: 「気候崩壊」の避けられない真実』でも詳しく書いているが、気候変動(温暖化)によって、めったに起こらない異常気象も「ありふれた自然災害」となる。何世紀も語りつがれるような重大な災害がいつのまにか日常となってしまうことで、見すごされ、忘れられてしまう。

これだけ自然災害が頻発して、以前から予測されていたことが現実の事態になると、実際のところ、気候変動はもう起きていると思わざるをえない。もはや私たちは、新しい時代に足を踏み入れたのだ。

現在は正常な状態の終焉

現在の状況は、言うなれば正常な状態の終焉だ。文化や文明をはぐくんできたこれまでの気候システムは死んでしまった。地球を繰り返し痛めつけているここ数年の気象状態は、これまでに起きていた気候変動の産物だ。

仮に二酸化炭素の増加をただちに止めることができたとしても、すでに排出した分が作用して温暖化は続く。もちろん実際にはゼロにするどころか、排出量は逆に増えつづけている。いま起きている惨禍(さんか)は、温暖化とそれがもたらす気候崩壊のなかでも「最良すぎる」状況なのだ。

気候変動が牙をむいたら、攻撃は単発では終わらない。猛攻が連鎖し、破壊が連続し、地球は何度も痛めつけられる。暴力はしだいに強さを増して、長い間当たり前だと思っていた風景が一変する。

自然に手を加えてつくりあげてきた世界が、自然から私たちを守るのではなく、自然と共謀して陥れようとするのだ。

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