億人単位の死者も危惧される温暖化の甚大影響

グローバルな気候崩壊の連鎖が何を起こすか

どんなに豊かな国でも貧しい人たちが暮らすのは、社会基盤の整備も進んでいない場所だ。例えばテキサス州では、50万人の貧しいラテン系住民が「コロニアス」と呼ばれる地区に住んでいる。そこは下水道がないため、浸水するとお手あげの状態となる。

世界に目を転じると、この格差はさらに広がる。この先、暑くなるいっぽうの地球で被害をこうむるのは貧しい国々だし、暑くなるのもそうした低GDP国だ(オーストラリアは例外だが)。

いままでさんざん大気を汚してきたのは、地球の北側である。ただ、持たざる側が過剰に負担を強いられるとはいえ、気候崩壊の影響を発展途上諸国にだけ隔離することはできない。北半球諸国が内心でそう望んだとしても、気候崩壊は北も南も差別しないのである。

国際的な協力体制にとって最大の脅威も、地球全体を揺さぶる気候変動だろう。さらに、協力体制が必要なのにもかかわらず、共同責任から離脱しようとナショナリズムの殻に閉じこもり、私たちはそうした体制を解体する方向に動いている。いまの世界は、信頼の崩壊も連鎖しているのだ。

2℃上昇でホロコースト25回分の死者数

気候崩壊の連鎖は、地域のコミュニティーにも打撃を与える。例えば、雪崩だ。スイスでは、雪が積もったところに大雨が降る「レイン・オン・スノー」現象で、かつてない種類の雪崩が発生している。カリフォルニア州のオーロビル・ダムで発生した越水や、2013年に起きた50億ドル近い被害を出したカナダのアルバータ州の洪水も、レイン・オン・スノーによるものだ。

気候崩壊の連鎖はこれだけではない。水不足や凶作が生み出す気候難民が周辺地域に押しよせると、資源の奪い合いになる。

海面の上昇で塩水に浸かった農地は黒ずんだ湿地と化し、耕作ができなくなる。発電所が浸水すれば、地域に不可欠な電力が断たれる。化学工場や原子力発電所が機能停止すれば、有害物質が漏れ出すかもしれない。

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