億人単位の死者も危惧される温暖化の甚大影響

グローバルな気候崩壊の連鎖が何を起こすか

2018年3月、カリフォルニア州サンタバーバラ郡は避難命令を出した。同郡が自然災害関連で避難を命じたのは、3カ月で4回目だ。ただし山火事での命令は初めてで、最初の3回は泥流の危険が高まったためだった。

カリフォルニアでもとびきり高級で華やかな住宅地は、恐怖のどん底に突き落とされた。セレブが趣味に興じるぶどう畑や馬小屋、美しい砂浜、豊富な資金で整備された公立学校が泥流に埋まった。死者は10人以上で、泥流に押しながされた幼児の遺体は、何キロメートルも離れた海辺で発見された。緊急車両も入ることができず、町は陸の孤島となった。

このような気候崩壊の連鎖反応は、地球レベルで起こるだろう。その規模はあまりに大きく、すさまじい速さで進む。

温暖化がさらに進み、気温が上がって北極圏の永久凍土が融けると、内部に閉じ込められていた1兆8000億トンもの二酸化炭素が放出される。いま大気中に存在する二酸化炭素の2倍以上だ。一部はメタンとして蒸発する可能性もある。メタンの温室効果は二酸化炭素の34倍。これは100年という長期で比較した場合の数字で、20年間の比較では実に86倍になる。

「気候カースト」

気候変動を減速させるフィードバックもないことはないが、加速するほうがずっと多い。複雑で、時に相反する作用がフィードバックし合うことで、どの影響が拡大し、どの効果が弱まるのかまだわかっていない。

非現実的であるとはいえ、気候変動の最善のシナリオは想像しやすい。なぜなら、いまの生活とほとんど変わらないからだ。しかし、悪いほうの予想が当たったときのことは、まだ誰も考えていない。

山火事や土砂崩れで大きな被害をこうむったサンタバーバラ郡は、けたはずれに裕福な地域だが、それは世界の中では少数派だ。しかし気候変動の鉄槌は、裕福な地域だけでなく、対策もとれなければ復興もおぼつかない町にも平等に振り下ろされる。それが「環境正義」という問題だ。身も蓋もない言いかたをすれば、「気候カースト」である。

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