中学生を狙うハッシュタグ「副業〇〇」の正体 ツイッターで商材販売を誘う謎のアカウント

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1つ目のアカウントは、DMするとコピペと思われる長文が送られてきました。今後もしっかりサポートすること、即日即金で中学生でも可能であることなどが記載されており、副業は「商材販売」で初期費用が4000円かかるが私は2000円で提供している、やる気と頑張り次第で何倍にもなると書いてありました。

情報商材の方法が記載されているクラウドファイル(筆者撮影)

初期費用の振り込み方法について尋ねると、フリマアプリ「メルカリ」を使うとのこと。メルカリで何かを販売する形式にしてお金を受け取るのだと思われます。

2つ目のアカウントも情報商材販売で、その説明文はどちらもEvernoteに保存されており、リンクを渡されました。テンプレートを使い回しているのでしょう。これ以上は踏み込めなかったのですが、ネズミ講を行っている可能性もあります。

情報商材の内容はそのマニュアルを売るための手順が基本ですが、時にはタレントの連絡先や非公式画像なども販売されます。こうした情報を売る行為を「ばらまき」と呼び、「ばら」の部分を薔薇の絵文字に、グループ名や推しの名前も絵文字で表記しています。検索避けなのか、いかにも秘密の情報を持っているといった演出なのか、いずれにせよ情報のクオリティーが高いとは思えない商売で、少なくとも数年前から行われています。

絵文字をふんだんに使う「ばらまき」アカウント(筆者撮影)

3つ目のアカウントは、ポイントサイトへの登録を紹介してきました。紹介URLからポイントサイトに登録すると、紹介側に3000ポイント(300円相当)が入る仕組みです。「口座不要でコンビニで現金受取可能」となっていたので尋ねると、口座がなくてもセブン銀行で引き落とせるとのこと。

どのようなからくりになっているかはアカウント本人もわかっていないためこれ以上は不明なのですが、ポイントを現金で引き出せるサービスや、企業から個人へ送金できる「現金受取サービス」を組み合わせているのかもしれません。

副業詐欺はTwitterだけではない

4つ目のアカウントもポイントサイトへの登録を促してきました。数日後、過去のツイートをすべて消していたので、別のアカウントを作成して勧誘していると思われます。

これらのアカウントが本当に中学生のものなのか証拠はありませんが、「同じ中学生がやっているのなら」と試してみる人もいるでしょう。しかし、ポイントサイトは18歳未満はお断り、もしくは保護者の承諾がいるといった年齢制限を規約に定めている場合があり、もちろん虚偽の登録は禁じられています。さらに、換金の最低ポイントが高くてなかなか現金化できないなど、ポイントサイトによっては悪質なケースもあります。

副業詐欺はTwitterだけでなく、LINEやInstagramにも存在します。「LINEスタンプを送るだけで」「リツイートするだけで」「3タップするだけで」などと簡単にお金が稼げるような誘い方をしてきます。アフィリエイトサイトやメルマガへの登録を要求されることもあります。これも紹介料が元のアカウントに入る仕組みです。

コミュニケーションが楽しいSNSにも、落とし穴があります。スマホデビューの際には、「知らない人と連絡を取らない」などの約束をしているご家庭も多いでしょう。その話し合いの場で、副業詐欺についても説明してください。「親バレしない」を誘い文句にしているアカウントが多いので、一度踏み込むと多額の損失になってしまいかねません。

鈴木 朋子 ITライター・スマホ安全アドバイザー

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すずき ともこ / Tomoko Suzuki

メーカー系SIerのSEを経て、フリーランスに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代の生み出すデジタルカルチャーを追い続けており、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。
http://tomoko.chu.jp/

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