減速感強まる欧州経済と止まらないユーロ売り 次の焦点は「アメリカが利下げに動くのか」

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2020年、日米欧中の4極において上方修正が最も期待できそうな地域がユーロ圏だった。それは過去3年間、経済・金融情勢の一方的な悪化が続いたため、反発を期待できるという単純な発想であったが、相応に説得力もあった。しかし、2020年の出だしから中国が大荒れの今、同国の需要を糧に成長してきたドイツの立ち上がりも必然的に遅れ、それがユーロ圏全体の仕上がりに影響することは不可避だろう。ドイツの対中貿易依存度は約20年前となる2000年には2%程度だったが、今やその4倍の8%超になっている。

アメリカは予防接種に動くのか

メルケル政権で一段と深まったドイツと中国の蜜月関係を背景に「中国が風邪を引けばドイツそしてユーロ圏も風邪を引く」という状況が今の世界にはあり、それを受けて「アメリカが予防接種(利下げ)をする」という状況が近年は見られる。少なくとも2019年にはそうしたロジックが幅を利かせた。2020年もすでに、同様の状況に足を踏み入れているように見える。

足元でユーロドル相場は1.07台で推移し、約3年ぶりの安値圏にある。多くの通貨が対ドルで下落しているのでユーロの方向感だけが特別というわけではないが、水準感としてはドル円以上の落ち込みである。

理由はいろいろ考えられるが、やはり将来にわたって想定される「マイナス金利の深さ」が嫌気されている可能性は高い。GDPを筆頭としてユーロ圏の基礎的経済指標はほとんど良いところがなく、ただでさえ深いマイナス金利がさらに深掘りされることへの懸念が強まる地合いにある。

ユーロにつく金利がマイナス圏で沈んでいくおそれが強いからこそ、金(ゴールド)のようなゼロ金利の資産でも「相対的に見れば高金利(かつ希少)」という目線で評価を受け、騰勢を強めている面もあるのだろう。中銀の金購入が増えているのにはそうした背景があると筆者は推測している。

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