佐藤優「一般職を選んだ方が幸せかもしれない」 総合職の多くが一般職に、働き方改革の狙い

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ただし、自由度が高く仕事ができるということは、それだけ高い専門性を有していなければならなくなります。スキルアップのための時間が必要になります。そしてある程度実力がつけば、今度は引く手あまたになり、忙しい。ですから仕事の内容によっては時期などによってばらつきがあるとはいえ、かなりの残業を強いられることになると思います。

そうやって仕事のスキルを高めつつ、常によりよい条件を探すという仕事の仕方になるでしょう。この人たちの強みは、体が丈夫であるうちは、そして求められるスキルがあるうちは、ずっと働き続けることができるということです。

仕事が自己実現になっている人が多いでしょうから、仕事を続けられるうちは張り合いを持ちながら生きていくことができる。退職金などは総合職よりも少なくなるかもしれませんが、お金では得られない仕事と人生の満足感を得ることができやすいのも専門職の人たちかもしれません。

一律に規制するという乱暴な改革

このように総合職、一般職、専門職で「働き方改革」に対する向き合い方が変わってきます。どの職種、どの働き方が正解というものではありません。それぞれに一長一短があり、それに応じて働き方や人生設計があるということです。

最もよくないのはそれらを意識せず、漠然と総合職で仕事をしながら、一般職的な時間の使い方をしてみたり、逆に一般職でありながら無理のある人生設計を立ててみたりと、軸がぶれてしまうことでしょう。

どうも政府の「働き方改革」のやり方を見ていると、そこらへんのすみ分けや違いを意識せず、一律に規制しようという動きが強く感じられます。それだけに働く人たち自身が考えて、自分なりに対処しないといけないと思います。

そもそも「働き方改革」がなぜ今になって声高に叫ばれるのでしょうか? 今のままの仕事の仕方を続けていたら、多くのビジネスパーソンが疲弊し、燃え尽きてしまうことが目に見えているからです。高度経済成長やバブルの時のようなイケイケどんどんの右肩上がりの時代ではありません。社会全体が成熟し下降していく中で、仕事に向き合う姿勢もおのずと変わっていく必要があります。

ただし、お上からの改革はあくまでもお上にとって都合のいい改革であることは言うまでもありません。一見、働く人たちの自由や権利を守るかのように見えますが、その本音と目的は超高齢化社会、少子化社会が加速する中で、いかに健全な労働力を継続的に確保するかということに尽きます。

労働力が減っていく中で、途中で燃え尽きてしまわないように、細く長く働いてもらうことが、労働力確保の意味でも、医療費その他の削減の意味でも必要不可欠な命題なのです。

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