佐藤優「一般職を選んだ方が幸せかもしれない」 総合職の多くが一般職に、働き方改革の狙い
1割のエリートを除くほとんどの人は、総合職的な採用であったとしても、今後は早い段階でラインから外され、一般職的な仕事の進め方に近い立場に追いやられる可能性があります。極端かもしれませんが、イメージするなら昔のOLの雇用に近くなる可能性もあります。彼女たちは結婚までの腰掛けで、30歳を過ぎたらお局として煙たがられることもありました。
これからは男性社員の多くも、40歳くらいで一時定年、役職定年のような仕組みになり、外されていく可能性があります。
賃金が高くなり、組織の負担になる前に若い人と入れ替えられる。そのラインが、これまでのような役職定年どころか、グッと前倒しになる。外された人は会社を去るか、残っても雑用のような仕事になってしまうでしょう。
一般職を希望する男性も少なくない
最近は一般職を希望する男性も少なくないようですが、このような選択も十分にありうるし、1つの立派な生き方だと思います。むしろ総合職でラインの上での競争に明け暮れ、結局役職定年でラインから外されてしまうのも寂しいものです。ひたすら仕事に打ち込んできただけに、今さら別の居場所や人間関係もなく、60歳、65歳まで昔の部下の下で雑用をやらされ細々と再雇用契約でしがみつかざるをえない。
そんなことを考えたら、はるかに一般職で戦略的に人生設計をしたほうがいいと考えることもできるでしょう。ちなみに、厚生労働省が2015年に発表した「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によると、2014年4月の総合職の採用比率は男性約8割、女性約2割、一般職では男性約2割、女性約8割となっていて、年を追うごとに男女の比率が近づいていく傾向にあるようです。
仕事はあくまでも収入のためと割り切り、9時~5時の間だけ仕事に没頭する。仕事に楽しみを見出さない代わりに、プライベートの時間を充実させる。趣味やサークル活動、場合によっては本業に差し障らない範囲での副業も考える。職場以外の活動の場を広げ、総合職の人たちとは違った人生設計を描くことができるのが一般職の人たちの強みでもあります。
ただし、総合職ほど給与は高くないのが一般的です。ほぼある程度の年齢のところで昇給はストップします。結婚してダブルインカムで稼げば都会でも生計は保てると思いますが、支出の力点を子どもの教育費に置くならば住宅を、住宅に力点を置くなら子どもの教育費を削らなければ生活設計が成り立たないということも考えられます。
もう1つ、専門職になると、また対応の仕方が変わってきます。こちらはスペシャリストを目指しているわけですから、今の会社にずっと所属しているかどうかもわかりません。将来的に転職や独立も視野に入れながらの仕事になるでしょう。
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