東京五輪の舞台「有明アリーナ」の可能性と課題 近代的な施設で収益も唯一の黒字計画だが…

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有明アリーナの特徴をいくつか挙げると、メインアリーナのコンコースや天井、壁面などに約800立方メートルの国産木材を使用していること。

完成披露式典の様子(編集部撮影)

メインエントランスの天井面や壁面には多摩産材を使うなど、ホストタウン・東京をより前面に押し出している。和のテイストは確かに温かみはあるが、コンクリートよりも耐久性で劣る点がやや不安。今後のメンテナンスが課題になりそうだ。

車いす対応トイレや乳幼児対応トイレなど、さまざまなトイレの分散配置をしたことも特筆すべき点。巨大イベントが開催される会場はやはりトイレ問題が非常に重要になってくるが、有明アリーナの場合は数も種類も導線も十分な配慮がなされている印象だった。

大会後の収支も黒字予測

さまざまな優位性がある施設だが、やはり370億円もの巨額の税金を投じて作っているだけに、やはり気になるのは五輪・パラ後の利用だろう。有明アリーナを東京の新たなスポーツ・文化の拠点にするため、東京都はコンセッション方式〔民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)に基づく公共施設等運営事業〕を導入。

有明アリーナ完成時のイメージ。2020年2月現在では施設自体は出来上がったが、周辺の環境は整備中(Tokyo 2020提供)

所有は都のままだが、㈱東京有明アリーナが運営権を借りて利用促進を図ることがすでに決まっている。

同社は電通を中心に、NTTドコモや大手芸能事務所のアミューズらで構成され、イベント誘致・プロモーション力が強みだ。

年間来場者目標140万人のうち、89万人を国内外アーティスト等によるコンサートによる集客で見積もっているのも、こうした自信の表れだ。彼らが試算する年間収入は12億4500万円で、支出は8億8900万円。つまり、約3億6000万円の黒字が出る計算だ。今回の東京五輪・パラのために新設した海の森水上競技場やカヌー・スラロームセンターなど6施設のうち、唯一の収支黒字となる予定の施設ということで、期待は非常に大きい。

車いすバスケットボールのデモンストレーションの様子(編集部撮影)

「2020年は東京五輪・パラへの準備があるため、4月21~26日に開催されるバレーボールのテストマッチ以外は今のところ予定は入っていません。五輪・パラ終了後は仮設撤去やコンサート開催のための補強工事があるため、本格稼働は2021年6月頃になると聞いています」と東京都の担当者が語るように、同施設の真価が問われるのは1年半以降になる。

目下、世界中を不安に陥れている新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大動向がその時点でどうなっているかわからないものの、突発的なアクシデントがない限り、有明アリーナは大々的に活用されることになる。ただ、東京有明アリーナが見込んでいる約3億6000万円の黒字を確実に計上していくために、解決しなければならない課題もありそうだ。

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