新型肺炎予防で露呈した日本の医療の「盲点」

「かかりつけ医」制度の未整備があだになった

相談できるかかりつけ医もおらず、政府から示された相談・受診の目安に納得できず、フラストレーションがたまる羽目になる。

ここには2つの問題がある。1つは患者側の問題、もう1つは医療提供体制の問題である。

患者側の問題は、かかりつけ医がいないことである。医学の素人なのに近所の噂などに振り回されて、病気やケガをしたらひとまずいつも同じ医師に診てもらうという行動をとらない人が多い。つまり、かかりつけ医を決めていない人が多いのだ。

揚げ句に、1人の医師を信用できず、あてもなく複数の医師に診てもらう行動を繰り返している(これを重複受診という)。近くの町医者を頼りにできず、やみくもに大病院にいきなり駆け込んだりする患者もいる。病院と診療所の区別を知らなくて当たり前というのが日本の受診の実態である。

医師を客観的に評価する仕組みがない

したがって、いざというときに、まずはかかりつけ医に診てもらおうという行動がとれない。今回の新型コロナウイルスの感染で、図らずもこうした実態が露呈したのだ。患者側が取るべき対応は、日ごろから信頼できるかかりつけ医を決めて、まずはかかりつけ医に相談できるようにしておくことである(ただし、執筆時点では、新型コロナウイルスについては、かかりつけ医から検査機関への検査依頼ができない場合がある)。

他方、信頼できるかかりつけ医がどこにいるかをきちんと国民に示せていない、医療提供体制側の問題もある。

どの医師の評価が高いかを客観的に比較・評価して公表する仕組みが、日本にはない。医師同士が比較されるのを忌避する傾向があることも一因だろう。患者は、近所の噂や週刊誌で特集される名医の評判をあてにして、かかる医療機関を決めたりする。また、わが国の医療はフリーアクセスであり、予約なしで医療機関を受診することができる。

患者にとって、できれば腕のいい医師に診てもらいたいと思うのは当然だ。しかし、その情報が諸外国に比べて明らかに不足している。

欧州諸国では、かかりつけ医制度が整備されている国が多い。イギリスやデンマークなど、患者がかかりつけ医を登録する制度にしている国もある。かかりつけ医の担い手となる「総合診療医」や「家庭医」を養成する仕組みも整えられている。

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