進むリアルタイム決済、遅れる全銀システム 平日7時間だけの即時決済は、もはや時代遅れ
日本の銀行システムはこのまま世界から取り残されてしまうのか──。
口座振り込みなど銀行の資金決済システムをめぐる国際的な競争が激しくなっている。各国で24時間365日即時決済できるサービスの導入が進んでいるのだ。2008年に英国で始まったのを皮切りに、今年はシンガポール、16年には豪州が対応する予定だ。
米国も動き出している。中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は「資金決済システムの改善に向けた市中協議文書」を昨年9月に公表。12月に募集したパブリックコメントを踏まえ、今夏にはリアルタイム決済に向けた報告書を出す。これを機に、英国などを追いかける動きが加速するのは間違いない。
企業財務にも影響
こうした資金決済システムの高度化は「ファスターペイメント」と呼ばれる。日本での口座振り込みの場合、即時決済できるのは、平日の8時30分~15時30分までの7時間に限られる。それ以降は、大量のデータを一定期間ためて、まとめて処理する仕組み(バッチ処理)になっている。ところが、英国では土日・祝日でも時間を問わず、銀行利用者はリアルタイムで振り込みや受け取りができる。
即時決済のメリットは、個人の利便性が向上するだけではない。企業財務上では、「資金効率面にも違いが現れる」と、ある製造業の財務担当者は指摘する。販売先からの購入代金の入金が1日でも早まれば、資金を効率よく活用できるようになり、無駄なコストがなくなる。
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