炭酸水ウィルキンソンがここへ来て大人気の訳 冬も好まれる爽快感、誕生100年超えモテ期に

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ウィルキンソンは116年の歴史を持つ。英国人実業家のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が、狩猟の途中、兵庫県宝塚市の山中で天然の炭酸鉱泉を発見したことがきっかけで、発売は1904(明治37)年(当時の商品名は「ウヰルキンソン・タンサン」)だ。

だが、長年、地味な存在に甘んじていた。前述した割材として、プロの飲食店関係者の評価は高かったが、主戦場は業務用中心だったからだ。ミュージシャンでいえば、各地の酒場で愛される実力派だが、メジャー進出(2011年にペットボトル発売)はデビュー107年後。それ以来、一般ファンの目にも触れるようになり、人気が沸騰した。

マーケティングの世界では「ブランドは人格を持つ」と言われるが、人生に例えると、100歳を過ぎてから“最高のモテ期”が到来したことになる。

2020年3月、同シリーズの「ウィルキンソン タンサン」「ウィルキンソン タンサン レモン」をリニューアル発売する。ともにパッケージには「No.1」の文字が大きく入り、どこか誇らしげだ。年間販売目標は「3000万箱」(前年比111.3%)を目指すという。

リニューアルした商品は、パッケージデザインも変えて訴求する(画像提供:アサヒGHD)

コロナウイルスの感染拡大は不安要因

「実は、炭酸水を飲んだことがないという人は、まだまだいます。当社のブランドでいえば『三ツ矢』も『ウィルキンソン』も同じ100年ブランドですが、ウィルキンソンの飲用経験は圧倒的に低い。日本では近年まで、炭酸の入った水を飲む文化が根付いていなかったのもあります。今回のリニューアルを機に、未経験層にも訴求したいですね」(久保さん)

これから暖かくなれば、水分補給の機会も増える。ブランドの視界良好に見えたが、気になる要因が出てきた。「新型コロナウイルス」の感染拡大だ。これが続けば、仕事の場であれ、週末であれ、外出控えも本格化していく。そうなると販売機会損失に直結する。

そうした変動要因はあるが、炭酸水を構成する2大要素「水」も「炭酸」も長年にわたり飲まれてきた商品だ。以前、別の記事でも触れたが、中長期的には「飲食の定番になれるかどうか」だと思う。

現在の炭酸水ブームの後には必ず反動がある。だがブームによって、間口は広がる。新たに炭酸水を知った消費者(新規ユーザー)を、どれだけ固定ファンに変えられるかも大切だ。状況次第では“農耕型”として地道な拡大に取り組む時期になるかもしれない。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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