1社に尽くす日本人の「一所懸命」を変える方法

「人生のセーフティーネット」はこう作る

(左から)山口周氏と尾原和啓氏に、自分たちがもっと自由に生きるためにはどんな「武器」が必要なのかお聞きしました(撮影:尾形文繁)
およそ2年ぶりに単著『アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと』を刊行した尾原和啓氏と、『武器になる哲学』など多数のベストセラー著書を持つ山口周氏。この特別対談では、テクノロジーがいかに人間を自由にするか、その阻害要因は何か、僕たちは何を「武器」に戦えばいいのか、縦横無尽に語り尽くす。
第3回は、「一所懸命」を「一生懸命」に変える方法。あなたにとって本当の「幸せ」とは?

「イグジット」するほど「社会資本」が増える

尾原和啓(以下、尾原)前回、僕たちがもっと自由に生きるには、「オピニオン(主張)」と「イグジット(退出)」が欠かせないという話になりました。しかしいずれも、日本人にとっては不得意な分野ですよね。

山口周(以下、山口):日本人はあまりにもおとなしいんですよね。ある種の美意識の問題と言えなくもないですが。

尾原:とくに会社からのイグジットは苦手かもしれません。「今の組織や上司に尽くし続けないと自分は死ぬ」という不思議なフィクションを持っている方が多いようです。これは、かつての経済成長を支えた終身雇用制の幻想の裏返しなんですが。

しかし、例えばバンコクあたりのヒッピー宿に行くと、「少し前までグーグルに勤めていたが、自分を見直したいからフラフラしている」といった若者がゴロゴロいます。本当に見つめ直しているかどうかはともかく、彼らがそんな選択をできるのは、自身の相場感覚を持っているからです。いつでもシリコンバレーに戻れば、相応の年収を稼げると。

山口:日本には「一所懸命」という言葉がありますが、これを言い出したのは封建領主の側。彼らは領民にイグジットされては困るので。本来は「一生懸命」なんですが、この価値観の転換はなかなか難しいようですね。

たしかに、イグジットが怖いという気持ちもわかります。でも、一度やってしまうと大したことはありません。僕の場合も、去年までサラリーマンでした。でも本を書く仕事も忙しくなってきて、いよいよ両立が難しくなった。それで上司に「会社を辞めます」と伝えたら、慰留どころか「よくぞ決断してくれた」と(笑)。それでもなんとかなるものです。

尾原:僕なんか13回も転職しているクズですから(笑)。今でも毎年転職活動をしています。むしろそれは、イグジットの権利を捨てたくないから。1箇所にずっといると離れにくくなりますが、いくつもの組織を経験すると自分の相場感覚がわかるようになる。だから、現状の環境をすべて捨てても問題ないと思えるんですよ。

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