「求人倍率100倍」の運送会社が忘れない"痛み" 悲しい事故をきっかけに社長が変えたこと

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「社長に何を指摘されるのだろう」「何を聞かれてもいいように準備するため、会議の前の日は寝られない」と。幹部たちはそんなピリピリしたムードで会議当日を迎えるようになっていったのです。

一方、社長になりたての私は、自らが立てた長期の経営計画を達成するためにも直近の数字を上げることにこだわっていました。「結果を出さな、あかん」と。

目先の数字に囚われて、毎月の赤字が気になる。

自分は必死に考えているのに、幹部たちは何も考えていないのではないか。

従業員には主体性を持って動いてほしいのに動かない。

動かないなら、より明確な数値を示して動かすしかない。

今、振り返れば、全部が焦りからの思い込みです。

社長が数字に囚われ、幹部にプレッシャーをかけ、目標で縛れば縛るほど、従業員の主体性は消えていきました。

しかし、その頃の私はそれに気づかず、掲げた大きなビジョンとは裏腹に近視眼的な経営をして社員を振り回すことになっていたのです。背景には、社長として認められたいという思いもありました。

それでも緩やかだった部分を急激に引き締めたぶん、その効果は数字になって表れました。社長就任から約1年、売り上げ、利益ともに改善し始め、私はまだ自分の考え方がずれていることに気づかず、幹部会議での叱咤を続けていたのです。

冒頭の事故が起きたのは、そんなときでした。

事故から1年ほど、私は仕事が終わって家に帰ると、自室にこもって「宮田運輸があり続けること」「自分が経営し、働いていくこと」の意味はなんなのかを自問自答し続けました。

社員は評価し、管理する対象ではない

その頃、ある先輩経営者から「おまえトラックが好きやろう。そのトラックをなくすよりも、〝生かす〞というふうに考えたほうがいいんちゃうか」という言葉をかけてもらいました。

その一言が胸に刺さり、私はこんなふうに思うようになったのです。

「亡くなった尊い命は、取り戻すことができない。それなら、今個々に生かされている自分や社員、周囲の人たちの命を生かし合うこと。つまり、一人ひとりの命を輝かせることが、経営者としての自分にできるせめてものことではないか」

「本当にトラックが好きなら、そのトラックを使って人間の命を生かすべきなんじゃないか。それが亡くなった男性と遺族の方々に対して自分ができることなのではないか」

塞ぎ込んでいた気持ちに光明が差しました。

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