24時間営業をやめる、企業や飲食店の本音 「あって当たり前」ではまったくない
これまで以上に厳しい世間の目が、いま「過重労働」に注がれている。ロイヤルホストやマクドナルドなど、企業も営業時間短縮の取り組みを始めた。
広告会社電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)の過労自殺が明るみに出たことで、改めて社会問題となっている日本人の過重労働。その後、厚生労働省の強制捜査を受けた電通が東京・汐留にある本社ビルの「午後10時消灯」を決めたことは周知のとおりだ。
加えて11月17日には、電通が社員手帳に記載されている社員の心得「鬼十則」についても、2017年からの記載取りやめを検討していることがわかった。「鬼十則」には「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」などと記され、電通の企業風土を象徴しているとされていた。
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングス(HD)が24時間営業の店舗を来年1月までに廃止することを決定し、業界では異例の「定休日」を設ける検討も始めていると報じられたのも同じ日。これらのニュースで、社会が動き始めたことを実感した人も多いのではないか。
働く環境をよくする
実は、外食や小売り、百貨店などで、年中無休や24時間営業を見直す動きは数年前から始まっていた。
全国に223店舗を構えるロイヤルホストの24時間営業廃止も、段階的に進められてきた。首都圏を中心に多くの店舗で実施していたが、13年には21店舗になり、現在では2店舗のみ。この2店舗も来年1月には24時間営業ではなくなることが決まっている。広報担当者によれば、営業時間の見直しが始まったのは11年ごろのことだ。
「多くのお客さまが食事をされるランチタイムやディナータイムの時間帯に安定したサービスと商品を提供し、従業員の働く環境もよくしていくためです」
24時間営業だけでなく、早朝や深夜の営業時間短縮も進めていて、その分、来客が多い昼食や夕食の時間帯に従業員の数を増やす方針だという。
「従業員からも、おおむね好意的に受け止められていると考えています」(広報担当者)