DeNA「400億円赤字」の先に見えぬ反転戦略 ゲームで巨額減損、期待の新事業も手放す
近年のスマホゲームのヒット作は、直近ではスクウェア・エニックスとコロプラが開発した「ドラゴンクエストウォーク」のように、著名なIP(知的財産、キャラクター)を活用したものが少なくない。これまで守安社長は一貫して、「DeNAの強みはIPホルダーとの強固な関係にある」と強調してきた。
2015年に資本業務提携を締結した任天堂とは、「スーパーマリオラン」や「どうぶつの森ポケットキャンプ」を展開し、一定のヒットにつながっている。
ポケモンマスターズも、ポケモンという世界的なIPを前面に押し出しただけに、期待は高かった。昨年任天堂と共同開発した「マリオカート ツアー」も当初の想定ほどのヒットにはなっていない。
守安社長はポケモンマスターズに関して、「開発の工数がこれまでのスマホゲームの3倍ほどで、その規模についていけなかった。(ポケモンは)初めて組むIPホルダーだったということもあり、仕事の進め方はもうちょっとうまくできたと思う。反省を生かして今後のタイトルで改善したい。実際、IP(を活用したタイトル)のほうがヒット率は高いと思っているし、ヒットを生み出す組織にしないといけない」と振り返る。
ゲームでのトラブルが相次いだ
トラブルはポケモンマスターズだけではない、2017年配信開始の長寿タイトルである「メギド72」でも2019年の年末に大規模な不具合が発生。タカラトミーと共同開発し、昨年末から展開する「デュエル・マスターズ プレイス」でも、緊急メンテナンスが立て続けに発生した。ヒットが出ない中での相次ぐトラブルは痛い。
持ち直せる見込みはあるのか。守安社長は、「今のパイプライン(開発中のタイトル)の中には期待できるものがある。これまでは開発が遅れたり、ユーザーの満足できるクオリティに達していないこともあったが、開発プロセスを見直したい」と話す。とはいえ期待作としているタイトルの配信開始は、2020年度の後半から2021年度にかけてになるという。しばらくは稼ぎ柱に欠けた状態が続く。
そこでDeNAがここ数年取り組んでいるのが、新規事業の育成だ。2019年度の初頭から、複数の新規事業をゲーム事業に匹敵する収益の柱に育て、全社の営業利益を1000億円にする長期目標を掲げた。その際、2020年度をその長期目標の達成に向けた「チェックポイント」と位置づけていた。
この中核だったのが、配車アプリ「MOV」を中心としたオートモーティブ事業だ。事業別損益を開示している2017年度以降は、開発やマーケティングに資金を投じ、これまでに100億円を超える赤字を出している。アメリカのウーバーや中国のディディなど競合がひしめく中、徐々に事業を拡大してきた。
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