男性3割が「とるだけ育休」で形のみの深刻実態 小泉環境相の育休取得で空気は変わるのか

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2020年度以降、国家公務員の男性職員が原則1カ月以上の育休取得を促す方針については、男性職員の意向に基づき上司が取得計画を作り、あらかじめ業務の分担を見直すほか、実効性を確保するため、幹部や管理職の取り組みが人事評価に反映されます。

わずか数日であれば、業務分担を見直すまでもなく、年次有給休暇を消化する感覚で育児休業の取得を上司が促すこともそれほど難しくなかったかもしれません。それが、「とるだけ育休」の実態へとつながっていた可能性もあります。

ところが、育休期間が1カ月以上となると、会社も本人も、それなりの事前準備が必要となります。それが上司の評価にも影響が出るとなると、取得できる方向へ進むことになるでしょう。国が率先して、男性のある程度まとまった期間の育休を後押しすれば、民間企業にも同様の動きが広まるであろうことを期待していることは明らかです。

9割ちかくの男性が育休を希望している

今後、長期の男性育休は広がっていくのでしょうか。エン・ジャパンが35歳以上のミドルに実施した「男性育休」に関する調査(2019年)では、男性の86%が「もしこれから子どもが生まれるとしたら育休を取得したい」と回答。また、男性の育休義務化については53%が賛成。男性育休の妥当な期間は「1カ月~3カ月未満」が男女全体で23%と最多、次いで「2週間~1カ月未満」(18%)という結果でした。

男性の育休義務化については、賛否意見がありますが、少なくとも、育休を取りたい人がパタハラ等を受けることなく、希望する期間を自由に取得できる環境が整えられることは早急に実現すべき課題といえます。

わが子の人生のスタートを、育児休業という形で夫婦ともに協力し合って過ごせる期間がある程度持てることは、今後の生活を考えても貴重な経験になると考えられます。ただ、育児休業期間が終わっても、子育てはずっと続きます。継続して男性が主体的に育児・家事にコミットしていくには、日常生活において時間が必要であることは言うまでもありません。

そう考えると、単に育児休業が取れればいいということではなく(もちろんそれも大切ですが)、恒常的な残業を減らし、自分の意思でメリハリのある働き方ができることに大きな意味があると言えるでしょう。

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