夜間に「救急車」を呼んで起こりうるリスクとは 救急医療の理想と現実に横たわる「ギャップ」

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夜間に体調がすぐれないとき、救急車を呼ぶべきか不安になったことはありませんか?(写真:阿野陽/PIXTA)

明らかな軽症にもかかわらず救急車を利用する「コンビニ受診」はよくないことだとわかっていても、やはり夜間に体調がすぐれないときは心配なもの。自分は大丈夫だと思っていても、実は重篤な病気の前兆で、朝になるまで待っていたら手遅れになってしまうかも……救急車を呼んだほうがいいのかな……と不安になったことはありませんか?

確かに夜間はメンタル的にも心配事を大きくとらえがちですし、その症状に緊急性があるか判断するのは難しいことです。

しかし、わざわざ夜間に病院を受診しても、思ったような治療が受けられなかったという声をよく聞きます。

イメージと実際は違う「救命救急」

こうした感想を抱く人々は、医療ドラマに描かれるような救命救急の現場のイメージが少なからずあることでしょう。しかし現実には、救急科以外の先生が診療にあたることが大多数です。

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夜間、医師が診療にあたることを「当直」と呼びますが、これは基本的に病院各科の医師や、他病院の非常勤医師(いわゆるアルバイト)が持ち回りで担当しています。そうなると専門外の医師が担当である場合も多く、また医師には研修医も含まれているため、日によって医師の専門性や熟練度がかなり異なります。

そして、ここでの医療は詳細な診断を下す場所ではなく、命に関わる疾患かどうかを見極める場所、すなわち今ここで治療を行うか、翌日改めて詳細な検査をするかを判断する場です。そのため、「ご心配でしたら、詳しい検査は翌日○○科を受診してください」と言われることも少なくありません。

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