医師との会話がどうしても「ズレまくる」理由 「合併症」「確率」などの言葉にご用心
「治療」の正しい意味、知ってますか?
まず「治療」とは、「病気をなくして健康な状態にすること」だと思っていませんか? 実は、これは完全に正解とはいえないのです。
例えば、「肺炎」であれば、抗生物質を使って治療をすれば、すっかり治って何もなかったかのようになります。これが「治療」のイメージでいちばん多いものです。
けれども、高血圧の場合は「高血圧の治療をしましょう」と言われて薬を出されたとして、患者さんは来月には高血圧が治って薬がいらなくなるでしょうか? そんなことはありません。ずっと薬を飲み続けなければいけません。
このように医者にとっての「治療」とは、「病気をなくして健康な状態にする」ということだけでなく、「数値が改善するだけで、何にも実感がない状態」や「病気自体は消えないが、症状だけが落ち着く状態」にするということも含んでいます。「医療行為によって、完治に限らず、状態をよい方向に向かわせること」が「治療」の正しい意味となるのです。
ほかにも例を挙げましょう。緑内障になって見にくくなり、視力0.1まで下がったとします。「緑内障の治療をしましょう」と言って治療をしますが、視力は上がりません。どんなに治療が成功しても0.1のままです。このまま放置すると失明する可能性が高い病気なので、失明しないように治療しているだけなのです。
患者さんにとっては「治療しているのに、ちっともよくならない」と思います。一方で医者は「治療したおかげで、悪くならずに済んでよかった」と思っています。
すれ違いをよく起こす言葉として「お変わりありませんか?」があります。「症状がちっともよくならないよ」という不満の気持ちで「変わりません」と患者さんが言っている一方で、医者は満足げに「変わってないのか。それはよかった」と思って同じ治療を続けます。
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