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政府の2021年度「成長率予測」はなぜ低いのか 衆院解散と成長見通しの間の「ある関係」

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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2016年1月試算での名目成長率は、2016年度に3.1%、2017年度に2.4%だった。ただ、この当時、2017年4月に消費税率を10%に引き上げることを決めており(消費増税の再延期を表明したのは2016年6月1日)、この2017年度の成長率の見とおしは、それを前提としたものだった。

この試算通りに2017年度の名目成長率が低下する見とおしならば、2016年中に衆院解散があったかもしれない。現に、2016年7月に予定されていた参議院選挙に合わせた衆参同日選挙の噂が絶えなかった。安倍首相自身、記者会見で「衆院解散について私の頭の中をよぎったことは否定しない」と述べている。

2020年度に解散総選挙の可能性

しかし、安倍首相は消費増税を再延期するとともに、衆院を解散しないことを表明した。2016年1月試算の名目成長率は、予定どおりの消費増税が前提で、2017年度に2016年度より低下するとの見とおしだったため、消費増税を再延期したことで、その見とおしは根底から覆ることになった。

その後、2017年10月に衆議院総選挙を行ったのは前述のとおりである。2018年の中長期試算は、2018年度より2019年度の名目成長率のほうが高く、2019年の中長期試算も、2019年度より2020年度の名目成長率のほうが高い見とおしを示していた。実際に、2018年も2019年も解散総選挙は行われなかった。

そして、2020年1月試算である。名目成長率は前述のとおりで、実質成長率は2020年度に1.4%、2021年度に0.8%に低下する見とおしとなっている。つまり、中長期試算と衆院解散時期の関係からいえば、2020年度に解散総選挙が行われるかもしれない。加えて、現職の衆院議員の任期は2021年10月21日まで。2022年度まで解散総選挙を延ばすことはできない。

中長期試算での成長率の見とおしは、解散総選挙の時期を決める先行指標なのかもしれない。

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