人を「ハーフ」と呼ぶ人が無邪気にしている差別

日本が多様性を受け入れる前にすべきこと

「ハーフ」という言葉には、「異質」と捉える日本人の不穏な考え方が表れているのかもしれません(写真:mits/PIXTA)

1月中旬、「2000年の長きにわたって、1つの民族、1つの王朝が続いている国はほかにない」などとスピーチをして問題となっている麻生太郎副首相。この発言は、日本の同質性に関する誤った概念を助長し、アイヌや沖縄人だけでなく、多様な人種や民族的バックグラウンドを持つ日本人(ミックス)、そして日本を母国と呼ぶ非日本人たちを取るに足らない存在として一蹴するものだった。

スピーチの翌日麻生副首相は、(当然起きた批判を受けて)謝罪し、日本は長い間、ほかの民族集団の移住や占領が起こらないまま続いてきたという意味であったと釈明したが、いかに有害な発言であったのかを理解しているようにはうかがえなかった。むしろ、現在の日本の多様性への共感が決定的に欠けていることを示していた。

麻生発言より衝撃的なメール

が、先日麻生副首相の発言よりはるかに衝撃的なメールを日本人の知人から受け取った。本人の了承を得て、ここにその一部を要約して掲載する。

「2019年のネットワーキングパーティーで、こんな出来事があった。出席者の日本人男性が、ある女性に『あなたはハーフですか?』と尋ねたところ、女性は生い立ちを説明し、そうだと答えた。別の若い女性が『ハーフってかっこいい! うらやましい!』というので、私はその2人に、会ったばかりの人に『ハーフか』と聞くのは不適切だし、『ハーフはかっこいい』という通念に迷惑している人もいるのだ、と話した。

ハーフのイメージに悩んで自殺を図った人たちについて読んだこともある。『ハーフは美しい』『かっこいい』『マルチリンガル』『日本人ではない』といったコメントは、そのような人たちをそれほどに追い込んでしまう場合もあるのだ」

麻生さんの発言は腹立たしかったが、ショックは受けなかった。が、このメールには仰天した。“普通の”日本人が、ミックスや外国人の住民の体験や気持ち、とくに、当人には悪気のない言葉や態度が及ぼす負の影響を考えようとした事実がとてもうれしかったのである。

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