親たちはなぜ堺ビッグボーイズを選んだのか?
会場には、多くの父母も見学にやってきていた。
小学校1年生の子供を1カ月前に入団させたという父親は、「なんといっても専用グラウンドがあるのがいいですね。
うちは堺市ですから、小学部のグラウンドは近いですし。それに、子供が嫌がらずに自分から行きたいって言うんです。筒香選手にも会えるし、大人の私もどきどきです」。
小学校5年生の子供の母親は車で1時間近くかかる高石市から通っている。
「お茶当番がないのがありがたいですね。土日が丸々つぶれるのは困ります。車で送迎するのでグラウンドには来ますが、練習が短いので、親の負担はすごく軽いです。それに指導者の方が、荒々しい声を上げることもないですから。対外試合などで、相手チームの監督やコーチがすごい声を上げて怒鳴っているのを見て、よそはこうなんだと、びっくりしてしまいました」と語る。
最近のお母さんは、SNSでつながっている。自分の子供が通うチームの指導ぶりは、SNSで瞬く間に共有されるのだ。
堺ビッグボーイズは小学部も硬式クラブだが、低学年のうちは危険なためテニスボールやソフトボール、軟球なども使っている。その指導方針も極めて柔軟だ。サブグラウンドでは、テニスボールをラケットで打って素手で捕球させるノックが行われていた。
少年野球チームの淘汰が始まった
筆者は堺ビッグボーイズだけでなく、いろいろな少年野球の現場を取材している。最近の状況から見えてくるのは「淘汰が始まった」ということだ。
四国のある地域では、昔ながらの「罵倒罵声」で指導していた指導者のチームに選手が集まらなくなり、その指導者が「人が変わったようにおとなしくなった」という話を聞いた。
また、ある少年野球団体の幹部は数年前まで「子供の野球を親が応援するのは、当たり前。休みの日は早起きして球場に来るべき」と言っていたが、その団体でも「お茶当番」は縮小する方向にある。また喫煙場所を厳格に守るように通達があったという。
さらにすべての少年野球団体は「暴力、暴言の根絶」をうたっている。「そうしないと選手が集まらない」と関係者は語る。
しかし、多くの少年野球チームは、根本的な体質はなかなか変わることができない。
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