筒香嘉智も見つめる「少年野球チーム」の大変貌

「野球離れ」は新しいフェーズに入っている

堺ビッグボーイズは小学部の低学年は12時まで、高学年と中学部は午後2時で練習が終わる。

「子供たちの集中力はそんなに持たないから、子供たちの負担を考えても短く集中してやるほうがいいんです。まだ日本では長く練習するチームが多いですが、指導者たちの自己満足になってしまうのはよくないと思います」

筒香は、今の少年野球は”大人に問題がある”という見方をはっきり示した。

子供たちに笑顔を見せた筒香嘉智(筆者撮影)

「昨年、神奈川県で少年野球の練習を何チームか見ましたが、指導者たちは自分がやりやすいようにするため、子供に言うことを聞かせようとしていました。

言うことを聞いてほしいから子供を怒っているようなチームが多かった印象です。しかし、本当は指導者がやりやすい環境を作るのではなく、子供たちの将来がいちばんのはずです。大人たちから変わるべきだと思います」

筒香は「球数制限」については「ゴールではない」として「ただ作ったらいいのではなくて成長の過程でルール考えないと。ルールができたからよかったという声もあるが僕はそう思っていない」と断言した。

さらに「高校野球の金属バットの見直し」については「いろんな事情があるかもしれないが、子供たちの将来の目標が守れるしケガも防げる」と評価した。

選手数が増えても手放しで喜べない事情

「昨年は小学部の選手数が倍になりました。今では100人、中学部が90人ですから人数は逆転しました。これはやっぱり筒香選手が毎年正月にここでアピールしてくれるのが大きいですね」と、堺ビッグボーイズ代表の瀬野竜之介は語る。しかし瀬野の顔色はさえない。

「うちにたくさん来てくれるのはありがたいですが、堺ビッグボーイズの近所のチームは部員数が激減して、チームの維持が難しくなっています。10年前はこの支部でも10チームあったのですが、今は3チーム。そしてさらに減りそうな見込みです」

堺ビッグボーイズだけが繁盛しても、野球は相手が必要なスポーツだから、それだけでは成り立たないのだ。

日本高野連の統計によれば、大阪府高校硬式野球部の部員数は、2010年には9029人だったが2019年は6754人。2275人も減った。減少率25.2%は、47都道府県の中でも3番目の水準だ(全国平均は14.6%)。

大阪桐蔭、履正社などの強豪校を要し「最強」の呼び声も高い大阪府だが、その足元でも急速な野球離れが進行していたのだ。

「うちの選手数が増えたのは、他のチームからうちへ移籍した子供が多いのも事実です。でもそれだけではない。やはり『野球離れ』には全然歯止めがかかっていないんですね」と、瀬野は語る。

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