中学・高校にゴルフ部を作る活性化計画の思惑 部活にゴルフを選ぶ生徒たちを増やせるか

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PGM・田中耕太郎社長「これまでゴルフ界の『横串』が見えなかったが、ちょっと(横串が)刺さったかなと。3社の考え方が一致した」

GOLFZON・今野晃広社長「ゴルフ人口減でビジネス環境が悪化している中で、いかに活性化をするか考えてきた。若年層のゴルファー創出になる。もともと(インドアは)若年層、初心者の来場が多い」

ゴルフパートナー・川崎康史執行役員営業推進本部長「お互いに目標を作って活動しようと。ゴルフ部をどれだけつくれるか、だと思う」

ビジネスチャンス拡大、先行投資という意味でも、3社の思惑が一致したということだろう。

「ゴルフ部ができれば、目標となる魅力ある大会が必要」(井上高ゴ連理事長)として、ゴルフパートナーが冠スポンサーをしている夏休み中の「全国高校・全国中学ゴルフ選手権」、通称「緑の甲子園」を、今後はPGMのサンヒルズCC、ピートダイGC・VIPコースでの継続開催を行うことで、中学・高校ゴルフの「聖地」として、高校野球の甲子園球場のような存在を目指すという。

また、GOLFZONでは「全国高等学校シミュレーションゴルフ選手権」を開催することになり、2月に第1回大会が実施される。

「ゴルフ部」を選ぶ生徒を増やすことができるのか

ゴルフ部創設をバックアップする体制、枠組みができたとはいえ、中学生、高校生に受け入れられるかが、いちばんの課題だ。ゴルフを始めるにあたっての初期費用や練習環境のハードルが、部活という方法なら少し低くなることは間違いない。

教員が顧問として手を上げてくれたら、ゴルフ部創設は可能だ。学校によって部活動の部員数の規定があるのかもしれないが、高ゴ連に加盟するには登録料を支払えば1人でもいい。試合として団体戦を組むには3人以上必要となる。

高ゴ連では「ゴルフ部創設マニュアル」というパンフレットを作成し、教育委員会や私学協会などを通じて配布し、呼びかけていくという。

ゴルフ部創設マニュアル(筆者撮影)

高ゴ連のホームページでも説明しているが、アピール度はまだまだ弱い。

小学生には、日本プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構、日本女子プロゴルフ協会のプロ3団体を中心に、スナッグゴルフという簡易の道具を使った普及活動を展開している。大学では、約580校が体育の授業にゴルフを取り入れている。

その間を埋める中学、高校でのゴルフ部創設が広まって、ゴルフ体験者も増えてくる、というのが理想だ。新学期、部活動の選択肢の中に「ゴルフ部」が入ってくれているだろうか。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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