自衛隊で実践されている究極の「片づけ術」とは 絶対に必要な条件が「モノを捨てること」

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そして技術とは、テクニックのこと。もちろん、重曹や酢などを使って汚れを落とす方法や、100円ショップのグッズを使った収納の裏技といったこともテクニックの1つだ。しかし、そんなテクニックは、今はちょっとネットで検索すればいくらでも知ることができる。重要なのは、「モノを捨てる」「モチベーションを起こす」「キレイな状態を維持する」ためのテクニックである。

例えば、掃除と片づけに絶対に必要な条件がモノを捨てること。ただ捨てるだけとは言え、技術が必要だ。なぜなら、多くの人は「捨てられない」という思い込みが激しいからだ。
「いつか使うかもしれない」
「もったいない」
「思い出がこもっている」……などなどだ。

しかし、その「いつか」はたいてい来ない。モノにかかっているお金よりも、モノを置いているスペースにかかっているお金のほうがもしかして高くついているかもしれない。つまり、モノよりもスペースのほうが貴重なわけだ。

「思い出を大事にする」と言いつつ、段ボール箱に何もかも詰め込んで、収納場所に押し込んでいるだけでは、思い出す機会もないであろう。家中にあふれかえっているモノを捨てるには、こうした、モノに対する錯覚をすべて排除する必要がある。

同じ掃除の動作を愚直に繰り返す

そして積み重ねとは、何度も同じことを経験し、体得していくこと。つまり、筆者が自衛隊の訓練時代に行っていたように、同じ掃除の動作を繰り返すという課程を経る必要があるのだ。

といっても別段、難しく考える必要はない。最初から完璧にしようと思わなくてもよい。「夕食の前に掃除機をかける」「トイレを使ったら便座や周囲を拭く」「モノを使ったら元に戻す」という行動を愚直に繰り返すのみである。繰り返すうち、1つひとつの行動からムダがそぎ落とされ、手際がよくなってくる。

ここまで来ると、「掃除をする」という意識なく、つねに部屋はキレイに保たれる。

『自衛隊式片づけ術』(飛鳥新社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

『自衛隊式片づけ術』では、筆者が自衛隊で身に付けた、掃除のためのテクニックを紹介している。題目を挙げれば、「片づけは散らかすことから始める」「革靴をピカピカに光らせる裏技」「収納場所をメモしておく」「ハンガーの間隔はすべて指2本分に保つ」のような内容だ。いかにも自衛隊らしい小ネタも含まれている。

しかし本当に読者に役立ててほしいのは、以上説明してきたような、掃除・片づけを習慣にするためのテクニックだ。そして掃除・片づけを日常的に行うことにより、有事に対応できる精神・肉体が整っていく。そのことがまた、人生の設計図を考えるうえでも役立つのではないかと考えている。

畠山 大樹 元自衛官・お掃除レンジャー社長

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はたけやま だいき / Daiki Hatakeyama

1990年、北海道生まれ。株式会社お掃除レンジャー代表取締役。22歳から陸上自衛隊第1空挺団に所属。自衛隊で培った掃除・片づけ、整理整頓の技術を活かして清掃会社「お掃除レンジャー」を起業する。ホテルや民泊、個人宅など月間約1000件以上の清掃業務を請け負っている。

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