自衛隊で実践されている究極の「片づけ術」とは 絶対に必要な条件が「モノを捨てること」

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しかし、毎年のように大規模災害が発生する昨今、普通に暮らす誰もが、危険と隣り合わせに生きているといっても過言ではない。生き残りのためでは、非常袋や食料の備蓄など、いざというときの備えだけでは足りない。

何よりも重要なのが、「サバイバル精神」を日頃から養っておくことだ。サバイバル精神とは、生き残りのための肉体的・精神的な備えのこと。そして、掃除・片づけは、究極的にはサバイバルを目的として行うものである。

家中の収納という収納がギュウギュウに満杯で、床には行き場のないモノが散乱している……。こんな部屋に住んでいると、いざというとき、生き残る確率が極端に低くなってしまう。

床にもテーブルにも、何もない状態を保つことが大切。ソファは丸洗いできるカバーのついたモノが、カーペットは毛足の短いモノがおすすめ(撮影:田中達晃+石川咲希/Pash)

例えば家の外に脱出しようとしたとき、床にモノが散乱していると、それだけ行動のスピードが落ちる。

また、余計なストレスを増やし、パニックを招くことになるのもリスクを高める。有事の際はただでさえ、気持ちが高ぶって焦っている状態。そんな中、散乱したモノをよけたり、必需品を探したりして行動に時間がかかると、さらに焦りが倍増してしまう。冷静な判断が下せなくなり、命を危険にさらす恐れがあるのだ。

ダイエットや頭の中の整理整頓にも

掃除・片づけは、避難経路を確保すると同時に、それをしっかりと頭に入れることにつながる。また習慣的に身体を動かすため、ダイエットや身体機能のメンテナンスにも役立つ。

例えば筆者は、部屋の掃除が終わった後に粘着ローラーを持って最終チェックをする。そのときは床に目線を合わせるためにはいつくばり、隅々まで入念にチェックしていく。匍匐前進のような動きが要求されるわけだ。

また仕事を含め、日常生活におけるパフォーマンスもアップする。部屋の中のモノを機能的に並べられるということは、頭の中も整理整頓されているということ。無駄なく考え、動くことができるからだ。

持っている衣服すべてが見渡せるよう、スッキリさせておくのがポイント(撮影:田中達晃+石川咲希/Pash)

ここまで説明してきたところで、「そんな理屈で部屋が片づいたら苦労しない」と考える読者も多いことだろう。片づけ下手の人のほとんどが「どこから手をつけていいかわからない」「片づけてもすぐ散らかる」「忙しくて時間がとれない」の三重苦を抱えているからだ。

しかし、これを書いている筆者自身、昔から掃除が得意だったわけではない。こまめなタイプでもなく、部屋が散らかっていてもまったく気にならなかった。それが自衛隊での訓練を経験することにより、現在、清掃会社を起業するまでに至っている。もちろん自宅は、つねにピカピカな状態を保っている。

なぜなら筆者にとって掃除は、わざわざする動作ではない。無意識に身体が動いて、気づいたら終わっているモノだからだ。しかしそこまで持っていくのには、当然だが理論・技術に加えて、積み重ねが必要になる。

まず理論とは、そもそも掃除や整理整頓とはどのように行うものなのかということ。掃除が苦手な人は、この基本が押さえられていないことが多い。そのため、片づけても片づけてもすぐに散らかってしまう、掃除に非常に時間がかかるため、ついおっくうになり放置してしまう、などのことが起こる。

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