中国が進める「1国2制度」は台湾では不可能だ 「ひまわり学生運動」リーダーが語る総統選
学生運動の旗手はなぜ民進党幹部になったのか
――今回の選挙結果について話を始める前に、日本の読者に民主進歩党の副秘書長(副幹事長)となった経緯を教えてください。2014年の「ひまわり学生運動」でリーダーだったあなたは日本でも知名度があり、あなたの一挙手一投足に関心が寄せられています。
2018年11月24日に実施された統一地方選挙で、民進党は惨敗しました。この結果を見て、多くの人たちが「台湾の将来に影響を及ぼす」と心配しました。当時の最大野党・中国国民党(国民党)の韓国瑜・高雄市長の政治的勢いはとても強く、2020年の総統選挙では国民党が政権を奪回する可能性がとても高いとみられていました。一方で、そうなると、中国との関係(両岸関係)が国民党政権だった馬英九政権(2008~16年)の路線へ逆戻りするのではないかとの不安の声が上がりました。
さらに、現在の蔡英文総統が当選した2016年以降、これまでの3年半の間推進してきた過去の歴史清算(1947年に発生した228事件や、戒厳令下における知識人や反政府人士を弾圧するなど、国民党が行った人権侵害)や年金改革、同性婚、エネルギー政策の転換、脱原発といった改革目標も、馬英九政権のように後退してしまうと心配する国民も少なくはありませんでした。
そのような状況を見て、私は「蔡英文政権の改革とその成果を守りたい」と考えたのです。
注)「ひまわり学生運動」:2014年3月、当時の馬英九政権が中国との貿易活性化を進めるための「両岸サービス貿易協定」を批准するため、立法院(国会)での審議を始めることを、民進党の反対を押し切って立法院で強行採決した。これに「中国からの政治的圧力が高まる」として学生たちが反発。林氏を含めた学生100人余りが立法院を占拠して、審議のやり直しを要求した運動。この運動は国民からの多大な共感を得て、3月30日には50万人超の大規模デモとなり、審議の開始時期を延長するという結果を引き出した。
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