中国が進める「1国2制度」は台湾では不可能だ 「ひまわり学生運動」リーダーが語る総統選
――民進党政権の4年間の成果は何でしょうか。また、未解決の課題は何でしょうか。
われわれは多くの改革を推進してきました。これこそ、肯定的な成果です。歴代政権ができなかったことですから。
例えば、過去の歴史の清算は、同じ民進党政権だった陳水扁総統時代には少数与党だったためにできませんでした。馬英九総統時代にはもちろんできなかったことです。国民党がこれまで不当に得てきた資産の返還や「移行期の正義」推進委員会の設立といった過去の清算事業は、すべて蔡英文政権の成果です。
注)台湾の「移行期の正義」(transitional justice)とは、一般的には過去の大規模な人権侵害という行為そのものと、それによる結果を現在の社会とどう折り合いをつけ、清算させるかということを意味する。台湾においては、228事件をはじめとする人権侵害の清算や補償をどう果たしていくかという問題となる。
待ったなしの年金制度改革
次なる課題は年金改革です。年金制度改革は待ったなしです。かつての馬英九政権で年金改革はまったく推進されず、ひたすら負債をため込みました。台湾国民も、国家の負債に責任を持たなければなりません。
もう1つの課題は、エネルギー問題です。われわれは「故郷脱核」(原子力放棄政策)を推進してきました。2019年の地方選挙と同時に行われた国民投票では、反対勢力のフェイクニュースのせいで故郷脱核が否定されましたが、われわれの目標は不変です。グリーンエネルギー政策を今後も推進して、風力発電を進めるなど、台湾の再生可能エネルギーによる発電比率を今後20年間で現在より10%引き上げることは確実だと思います。
そして最も重要なのは外交関係です。アメリカの「自由で開かれたインド・太平洋戦略」と日米安保同盟への台湾の連携もあり、国際社会は民進党政権に肯定的な評価をしてくれるようになりました。
中国は引き続き台湾と国交を持つ国を自分側に引きつけようと企てています。しかし、外交分野での民間交流は深化しています。多くの国とは公式的な関係こそありませんが、非公式な交流は政府間でも大きな進展を見せています。
民進党は2016年に国民党から政権を奪回した後、国民との十分な意思疎通やコミュニケーションをとれませんでした。政策の進め方を理解していなかったのです。民進党政権は地方選までの3年間、政策を出して反発されれば修正するといった、極めて場当たり的な行動を繰り返しました。これは、われわれが反省すべき点です。
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