次に資本。しばらく前から、日本の設備投資はほぼ減価償却に見合った規模のものになっています。つまり、資本ストックはネットでは増えないという状況にあります。したがって、資本設備の寄与はゼロと考えるのが適切です。
最後に、TFP(全要素生産性)。これは、労働と資本では説明ができない成長要因です。主として技術進歩ですが、そのほかのさまざまな要因が含まれています。
1%台の成長率を維持できるかは、TFP成長率による
先に見た公的年金財政検証の経済前提において、ケースⅠからケースⅢまでの違いは、全要素生産性(TFP)上昇率の見通しの差によるものです。
すなわち、これらのケースの実質経済成長率からTFP成長率を引くと-0.5~-0.3%(または-0.2%)となります。これが、労働と資本の寄与による成長率だということになります。
ケースⅣとⅤの違いも、全要素生産性(TFP)上昇率の見通しの差によるものです。
すなわち、これらのケースの実質経済成長率からTFP成長率を引くと-0.7(または-0.8%)~-0.5%となります。これが、これらのケースの場合の労働と資本の寄与による成長率だということになります。
つまり、いずれの場合においても、TFP成長率がゼロであるとすれば(つまり、経済成長率が労働と資本の寄与だけで決まるとすれば)、日本の長期的な成長率はマイナスになると予測されているわけです。
これは、労働力が減少するからです。
見方を変えれば、今後の日本の成長を決める大きな要因は、TFP成長率です。
これは中身がはっきりしないので、評価が大変難しいのですが、やり方次第では高めることができます。
とくに重要なのは、「デジタル化」とか「データ経済への移行」と呼ばれる変化に対応できるように、経済構造を変革していくことです。
それがうまくいけば、年率1%程度のTFP成長率を期待することも不可能ではありません。
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