政府のさまざまな試算では、将来の実質成長率をどのように見積もっているのでしょうか?
まず、財政収支試算(「中長期の経済財政に関する試算」)があります。ここでは、2028年度までの経済の姿が、「成長実現ケース」と「ベースラインケース」について示されています。
成長実現ケースでは、実質経済成長率は、2019年度の0.9%から上昇し、2023年度から2025年度までは2.0%、それ以降は1.9%になるとされています。
ベースラインケースでは、2023年度以降の期間で、1.0%から1.3%程度の成長率になるとされています。
以下に見るように、多くの予測が、今後の日本の実質成長率を1%程度と見ています。それらと比べると、成長実現ケースの2%程度という値は、かなり高めです。
財政収支の姿をよく見せるために、不自然に高い値が想定されていると言えます。
なお、消費者物価上昇率は、成長実現ケースでは、2024年度以降に2%程度になるとされています。ベースラインケースでは、2024年度以降も0.8%です。
公的年金の財政検証の見通しは、1%ポイントほど低い
公的年金の財政検証が、2019年8月に公表されました。
ここでは、年金財政の収支計算の前提として、日本経済の長期見通しを行っています。
2018年までは財政収支試算の計数を用い、それ以降の期間について下図に示すような想定を置いています。
ここでは、6通りのケースが想定されています。
ケースⅠからケースⅢは、財政収支試算の成長実現ケースに接続するものであり、ケースⅣからケースⅥは、ベースラインケースに接続するものとなっています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら