就職に強い大学・学部はココだ!!--地域別・学部別 就職率ランキング
さて、理系のベスト10を見てみよう。私立大の薬学部と公立大の理工系学部がほとんどだ。トップは岡山県立大学・情報工学部で就職率100%。ただ、大学院進学者が卒業生の半数を超え、就職者はわずか50人。指導のしやすさが好結果に結び付いたと見られる。
ベスト10には関東の大学が1校も入っていない。13位の明治薬科大学がトップだ。大企業が多く、地の利を生かせそうなものだが、結果は地方の大学に軍配が上がる。地元経済の冷え込みを目の当たりにしている地方の学生のほうが、危機感が深いということなのだろう。より積極的に就活に臨んでいるようだ。
2位の新潟薬科大学、3位の九州保健福祉大学、6位の大阪薬科大学など、就職率の高い薬学部は私立大だ。この薬学部だが、来年から2年間、新卒の薬剤師がいなくなる。薬剤師国家試験受験資格取得のための修学年限が、4年から6年に延びた。そのため、空白の2年間が生じるのだ。その影響もあって今年の就職は好調だったとみられる。
農学系の就職率も高い。8位の秋田県立大学・生物資源科学部をはじめ、11位の新潟大学・農学部、19位の石川県立大学・生物資源環境学部、28位の名古屋大学・農学部など国公立大が並んでいる。農学系の学部は、私立大より圧倒的に国公立大に設置されている数が多いため、このような結果になったのだろう。
次に文系を見てみよう。ベスト10では福祉と教育系の学部が上位に多い。例年なら経営系も強いのだが、今年は18位の愛知工業大学・経営情報科学部まで出てこない。一足先に不況の影響を受けたのだろうが、今年はやや苦戦だった。
今年の特徴は、教育系学部が上位にきていることだ。団塊の世代の大量退職によって自治体の教員採用が活発なことが影響しているようだ。福井大学、千葉大学、鳴門教育大学など国立の教員養成系学部の就職率が高い。これもこの系統の学部が国立大に多く設置されているためだが、私立大でも早くから教員養成に力を入れてきた岐阜聖徳学園大学が6位に入っている。