ママ困惑!スナックで「暴走」してしまう女たち 居心地のよさに甘える「マウントスナ女」

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翌日。開店と同時にまた彼女がやってきた。店が混雑してきた頃、彼女が突然不意に席を立ち、「じゃあ、仕事しますか」と言いながらカウンター内に入ろうとした。さすがにカウンターの中まで入ってこられては、と思ったママは「お手伝いはいいから皆さんと楽しんでね」と言ったところ、彼女から「じゃあ、私がフロアやるから、お皿洗いはお願いね」との返しが。

それだけではない。ママがお酒の準備に取りかかっていると、フロア席から「私がこの店のチーママでーす!」と言いながら男性グループに入り込み、「お酒ごちそうしてー」「この曲私が歌ってあげるー」と仕切り始める彼女の姿があった。

初めは女性客の乱入に喜んでいた男性陣も、「あんたたち、チーママの話聞いてる!?」「私この店のナンバーワンなんですけど!」などと言いたい放題の彼女にあぜんとするばかり。呆れ顔の男性陣からSOSの要請が入り、ママが助け船を出そうとしたところ「私のほうが人気者なんだからほっといて!」と畳みかけられてしまった。

聞けばこの女性、平均年齢低めのIT会社で働いているそう。同年齢の女性が少なく、職場の人とはほとんど絡みがないらしい。ママは言う。「お店に来た当初はとてもおとなしくて。心配した常連さんが積極的に声をかけてくれたの。いま思えば、褒められたり、必要としてもらえたりしたのがうれしかったのよね。役に立ちたいという気持ちはうれしいけど、お客さまとお店のラインを越えちゃったら、後味が悪くなるだけだから」。

スナックでは、いつもより大胆になったり、素の自分をさらけ出したりすることはよくある。その解放感こそ、スナックの醍醐味だ。しかし、ほどよい距離感が保たれているから居心地がよい、ということも忘れてはならない。勝手なルールを作ったり、ママの空間を独占したり、調子にのってママやほかの客を困らせたりするのはルール違反だ。

お店から歓迎されるスナ女になるために

日常から切り離された癒やし空間であるスナックは、あなたを優しく迎えてくれる。ホスピタリティー豊かなママや優しい常連客に囲まれていると、居心地のよさはひとしおだ。しかし、居心地のよさを履き違えて、つい調子に乗ってしまう女性は少なくない。この話をしたとき、編集Mは「私もやりかねない。何だったらもうマウンティングしてるかも」と身を引き締めていた。

一方で、上司や部下とのコミュニケーションに悩んでいる人ほど、スナックに行くべきだとも思う。なぜなら、ママのコミュ力は卓越しており、距離感の取り方や話し方など、豊富な学びを得られるからだ。無理に絡むのではなく、気軽に相談してみよう。真摯に耳を傾ける姿勢があれば、ママからも常連客からも歓迎されるはずだ。

まっとうなスナ女が増えていけば、性別や年齢、役職にとらわれず、一体感を楽しめるスナック文化はさらに盛り上がっていくだろう。豊かな心をもって、スナックならではの魅力を体感してほしい。とくに仕事に悩んでいる人は、1人で悶々とせず、新しい年にはスナックの扉を開けてみてはいかがだろうか。

五十嵐 真由子 スナック探訪家、PRプランナー

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いがらし まゆこ / Mayuko Igarashi

国立音楽大学卒。CM音楽制作会社、楽天を経て独立。Make.合同会社代表としてストーリーブランディングを手法としたPRコンサルティングを提案・提供している。またスナック探訪家女子「スナ女」として、「スナック入門講座」「スナック女子向けツアー」、オフィスコミュニケーション「オフィススナック」も精力的に行う。最新情報はホームページツイッターで配信中。

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