「無痛分娩」には一体どれだけの危険が伴うのか その産科が麻酔をしっかりとやれるかが焦点だ

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ただ、始まった講習会は半日から1日程度のもの。それが対象者・目的別に4種類ある。研究班の一員だった照井さんによると、講習会は「すでに経験を積んでいる施設の危機対応能力を強化するもの」。対策は始まったばかりという印象がある。

無痛分娩を甘く見ている施設の新規参入、提言を無視して無痛分娩を続ける施設をなくす方策は、まだ見えてこない。照井さんによると、アメリカでは、病院が医療行為と専門医制度を連動させた「プリビレッジ(権限)」という規定を設けて、医師が不勉強なまま新しい技術に手を出すことはできないようにしている。日本は、もっぱら医師個人の良心にゆだねた形だ。

ただ、研究班は、医師が麻酔を行う医師としてふさわしいかどうかを、産む人が判断できる仕組みを作った。関連の学会・団体の手により、無痛分娩施設の情報を公開するウェブサイトが一般に公開された。「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA; Japanese Association for Labor Analgesia)」のホームページにある「全国無痛分娩施設検索」を見ると、無痛分娩の件数、麻酔をかける医師の情報などが施設ごとに掲載されている。

「麻酔担当医」の欄は、こう読む

一般人にはなじみのない言葉が並んでいるので、名古屋市立大学病院無痛分娩センター長の田中基さんにこのページの解説をしてもらった。

無痛分娩施設の情報公開ページを開き、基本ポイントを説明してくれた田中さん(筆者撮影)

「まず、このぺージに診療内容の情報を公開しているかどうかが、ひとつの目安です」と田中さん。厚労省研究班は情報を公開すべきだとしたが、実際に掲載されている施設の数は限られている。「載っていない施設は準備中なのかもしれませんが、もしかしたら、あまり公表したくない状況なのかもしれません」

情報が公開されていたら、まず見てほしいのは「麻酔担当医」の欄だという。

「『日本麻酔科学会認定麻酔科専門医』は日本麻酔科学会の試験に合格したいわゆる「麻酔科医」で、麻酔担当医としていちばん安心な資格だと考えられます。その次は『麻酔科標榜医』でしょう。これは厚労省の認定資格で、産科の先生でも麻酔科専門医の下で2年以上研修したら申請できます」

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