J:COMが徹底的な「地域密着」で得た独自の地位

ラストワンマイルを握る者ならではの強み

J:COMのコミュニティチャンネル(以下、コミチャンと記す)は、「J:COMテレビ(Jテレ)」と「J:COMチャンネル(Jチャン)」の2チャンネル体制を敷いている。Jテレは、主に地域発・全国向けのスペシャルコンテンツを放送するものだが、よりコミチャンらしい編成方針を敷いているのは、Jチャンだ。

キャッチフレーズは“ど・ろーかる”

Jチャンのキャッチフレーズは“ど・ろーかる”。その看板番組は、全国48地域のグループ各局が制作するニュース「デイリーニュース」。毎日生放送で各エリアに特化したニュース制作を成立させるためのカギとなっているのは、各局に配置された「地域プロデューサー」の存在だ。

「地域プロデューサーは各局の局長直属で、地域の情報を集めるだけでなく、地域のさまざまな団体や公的機関、地元企業などと日常的なコネクションを築いて、イベントのお手伝いなど、地域貢献活動にもつなげています」(ジュピターテレコム地域メディア本部本部長・髙平太氏)

実は、J:COMは創業以来ずっとコミチャンを重視してきたわけではない。トリプルプレイサービスの商品力と営業力を全面展開して加入者を伸ばしていた2000年代までは、コミチャンにはそれほど積極的ではなかった。しかし14年に当時業界2位のMSOだったジャパンケーブルネット(JCN)との経営統合を果たすと、JCNが特に力を入れていたコミチャンが地域に広く受け入れられ、解約の抑止にもつながっていたことから、ケーブルテレビが地域に不可欠な存在になるために、よりいっそうの地域密着活動が強化されることになった。翌15年には地域メディア本部が設立されて、JCNが先んじて行っていたデイリーニュース、そして地域プロデューサー制度も踏襲されることになった。

「Jチャンが“ど・ろーかる”を標榜しているのも、本当に地域に根ざしたメディアが不足しているという現状があり、そこにニーズがあったということです。さらに、トリプルプレイサービスをめぐる競争が激化し、他社との差別化を図るためにも、ケーブルテレビは地域との結びつきを強みにできれば、という経営判断がありました」(髙平氏)

髙平氏によれば、Jチャンの番組は、複数のエリアにまたがった情報よりも、例えば市長選・市議選速報など、より狭い地域に向けた「狭域番組コンテンツ」のほうが、視聴率が格段に上がる傾向があるという。また地域との結びつきを深めていった結果、自治体関連の新規ビジネスが年々飛躍的に成長し、地域向けの広告収入も2ケタ成長を続けている。それはつまり、地域がコミチャンの媒体価値を評価し、直接利益を生み出すメディアになってきているということでもある。

さらに近年、日本各地で激甚災害が頻繁に発生し、災害情報の重要性がより高まっているが、J:COMではサービスエリア内で災害が発生した際、きめ細かい情報を提供し、改めてコミチャンの有用性が注目されている。

次ページ災害時に威力を示したスマホアプリ「ど・ろーかる」
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