スマホに隠れた「国勢調査員」という影の役割 何かしらもっともらしい犯罪の証拠は探れる
異邦人としてしばしば途方に暮れた
コミュニティカレッジとアニメやマンガへの関心を通じて習得した日本語は、基本的な会話をする程度には十分だったけれど、読むにはまったく不十分だった。日本語では、それぞれの単語は独得の文字かその組み合わせで表現できる。これは漢字と呼ばれる文字だ。これは何万とある──ぼくが覚えるには多すぎた。
しばしば、読み方をしめすおまけ、ふりがながついている場合には、ある漢字を完読できることもあったけれど、ふりがなは一般には外国人や若い読者のためのものなので、標識のような一般の文にはついていないのが普通だ。その結果として、ぼくは実質的に文盲状態でうろつくことになる。混乱して、左折すべきところを右折し、あるいはその逆となる。まちがった通りをうろつき、メニューの注文をまちがえる。
つまるところぼくは異邦人ということで、しばしば複数の形で途方にくれていた。時にはリンジーのお供で、田舎での写真撮影旅行にでかけたりすると、ぼくはいきなり立ちどまって、村や森の真ん中で、自分がまわりのことを何1つ知らないのだということにはたと思い当たるのだった。
それなのに、ぼくについてはすべてが知られている。いまや自分が政府に完全に見通されているのを理解した。道順を教えてくれて、まちがった方向に行くと修正してくれて、交通標識の翻訳を助けてくれて、バスや電車の時間も教えてくれた電話は、同時にぼくの行動すべてが雇い主に筒抜けになるようにしていた。上司たちに、ぼくがいつどこにいたかを告げている。電話に触れもせず、ずっとポケットに入れっぱなしだったとしても。
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